2003 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエにおける細胞系譜依存的な脳神経回路の発生機構の解明
Project/Area Number |
15770141
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
粟崎 健 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助手 (60359669)
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Keywords | 細胞系譜 / 神経回路モジュール / エンハンサートラップ / グリア細胞 |
Research Abstract |
ショウジョウバエ脳神経回路網の大部分はクローナル・ユニットと呼ばれる、一つの神経幹細胞由来のクローン細胞が作る細胞系譜依存的な神経回路モジュールの集合体として構成されている。本研究は、これまでの研究結果から推測した「ホモフィリックな細胞接着を介したクローン細胞間の接着と、グリア細胞によるクローン細胞群との隔離は、クローナル・ユニットの形成ならびに細胞系譜依存的な神経回路形成に必要である」という仮説を検証することにある。本年度はその解析ツールとして1)幼虫クローナル・ユニットならびにグリア細胞形態を、GAL4エンハンサートラップシステムと独立にラベルするための新規エンハンサートラップ系統の開発・樹立すること、2)発生過程の神経-グリア相互作用を調べるためにコンディショナルに細胞死・細胞障害・異常細胞接着を誘導する実験系を確立することを計画した。1)に関しては、当初計画したDNAコンストラクトを用いて5種類・系100系統の新規エンハンサートラップ系統を作成した。しかしながら、予想に反してレポーターによる細胞ラベルの効率が悪かったため、現在DNAコンストラクトに改良を加えた新たなエンハンサートラップ系統を樹立中である。2)については、Tet-ON/OFFシステムならびに、温度感受性GAL80/UASシステムによる改変遺伝子のコンディショナル発現系がグリア細胞に導入できるかどうかを調べた。その結果、GAL80/UASを利用することで発生過程のグリア細胞において細胞死実行遺伝子をコンディショナルに発現させることができることがわかった。また、温度感受性shibire遺伝子をグリア細胞で特異的に発現させ、温度コントロールを与えることで、変態期においてグリア細胞の浸潤の一部を抑制させることができることを明らかにした。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Awasaki, T., Ito, K.: "Engulfing action of glial cells is required for programmed axon pruning during Drosophila metamorphosis"Current Biology. 印刷中. (2004)
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[Publications] Tanaka, N.K., Awasaki, T., Shimada, T., Ito, K.: "Integration of chemosensory information in the second-order olfactory centers of Drosophila"Current Biology. 印刷中. (2004)
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[Publications] Ito, K, Okada, R., Tanaka, N.K., Awasaki, T.: "Cautionary observations on preparing and interpreting brain images using molecular biology-based staining techniques."Microscopy Research and Technique. 62. 170-186 (2003)