2004 Fiscal Year Annual Research Report
イネ-ヒエ間高度選択性除草剤開発に向けての基礎的研究
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15780010
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
春原 由香里 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 講師 (00302539)
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Keywords | 除草剤 / 化学発光 / 過酸化水素 / 活性酸素分子種 / 酸化傷害 / 選択作用性 |
Research Abstract |
現時点で高い選択性を有する除草剤の作用機構ならびに選択作用機構を理解することは、さらに高度な選択性除草剤を開発する上で重要不可欠な知見となる。キンクロラックは、すでにイネ-ヒエ間に非常に高い選択性を示すことが知られている水稲用除草剤である。しかしながら、本剤のイネ科植物における作用機構やイネ-ヒエ間選択性発現機構の詳細は、未だ明らかとなっていない。本年度は、キンクロラックの作用発現に活性酸素種の発生が関与している可能性について検討するため、まず、植物体内で発生する活性酸素分子種の同定と定量法についての検討を行った。 活性酸素分子種は、非常に高い反応性を有し生体成分とも素早く反応するため、実際に植物体内で生じる活性酸素分子種を同定・定量することは難しく、報告例も少ない。そこで、本年度は化学発光法や電子スピン共鳴(ESR)法を用いて植物体内で発生する活性酸素分子種(O^・_2^-、・OH、H_2O_2)の測定法について検討した。色素成分の分離能の異なる強陰イオン交換カラムの充填剤を用いて、光強度の差異から生じるH_2O_2量の差を化学発光量として検出できるか検討した結果、充填剤の粒径を一定以下に下げて分離能を高めた場合、H_2O_2が検出可能となることが明らかとなった。さらに、この条件下で活性酸素発生剤であるパラコート(PQ)をイネ幼植物に処理し、化学発光量を測定したところ、明らかなH_2O_2量の増大が認められた。しかしながら、本条件では、植物種によってはカラム条件の更なる変更が必要であることがわかった。これは植物種によっては光照射やストレス等により色素成分の増大を伴いやすいものがあり、それらによってH_2O_2による化学発光が抑制されるためであると考えられる。ESR法による活性酸素分子種の検討ついては、ホウレンソウ葉部から、包膜を持ったIntact葉緑体と包膜が破壊されチラコイド膜が露出した状態のBroken葉緑体を調整し、それらから発生する活性酸素種の検討を行った。Intact葉緑体からは、PQ添加によるO^・_2^-のシグナルは検出できなかったが、・OHのシグナルは検出された。また、Broken葉緑体を用いた場合、PQ添加により明らかなO^・_2^-のシグナルが検出できることが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)