2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15780020
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
峯 洋子 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (70282704)
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Keywords | 養液栽培 / 根圏微生物 / 病害抑止 |
Research Abstract |
根圏微生物群の経時的な量的変化を把握するために,細菌密度の簡易測定方法を検討した.ルミノメーターを用いたATP法,あるいはFDAの生細胞染色を利用したFDA法で測定された細菌数を,希釈平板法すなわち標準寒天培地でコロニー形成する一般従属栄養細菌数と比較した.その結果,ATP法で得られた数値は,希釈平板法での結果と強い相関があることが示された.そこで,根圏細菌密度の変遷をATP法にて測定することとした. トマト水耕において,培養液中の微生物密度を上昇させる添加物を探索した.その結果,ポリペプトン(アミノ酸)およびクエン酸の添加により,微生物密度が増加し,また優先種が変化することが判明した.そこで,水耕培養液にペプトンを加えたアミノ酸区,クエン酸を加えたクエン酸区,過酸化水素を添加して殺菌した過酸化水素区,オゾンガスを流入させたオゾン殺菌区,緩速砂ろ過で除菌したSSF区を作成し,微生物密度の挙動を対照区と比較した.その結果,対照区培養液の細菌密度は10^3cfu/ml前後で推移したのに対し,アミノ酸区,クエン酸区では常に10倍以上高い密度を維持した.オゾン区とSSF区は対照区の1/10以下の細菌密度で維持されたが,過酸化水素区では対照区と変わらなかった.トマト生育は,アミノ酸区・クエン酸区で対照区よりもやや優った.今後,この系を用いて,発病抑止力と細菌密度との関係を調査する. またバラロックウール栽培の培地中の根圏微生物群の動態を把握するために,根圏細菌相をPCR-DGGE法で比較・解析する方法を検討した.その結果,培養液循環方式の細菌は多様性が高く,培養液かけ流し方式では定植後1ヶ月でも定植直後と大きく変化していないことが明らかとなった.
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