Research Abstract |
バラ品種‘ローテローゼ'を供試した.栽培ベッドは内寸幅20cm,深さ7.5cmとし,株間10cmで定植した.南西方向片側折り曲げ方式のアーチング仕立てとし,1/2園試処方培養液を給液した.冬季は最低気温16℃以上に加温した. 挿し木苗をロックウールマットに15株を植え付けた.既存の収穫枝をすべて切除し,新たな収穫枝を発生させ,以後,開花とともに収穫した.切り花の収穫日,長さおよび新鮮重,栽培温度および日射量を測定した.1年にわたる測定期間中に開花期は周期的に8回確認され,ある開花期の平均収穫日から前の開花期の平均収穫日までを生育期間とした.開花期あるいは生育期間ごとの切り花に関するパラメータと環境に関するパラメータの相互の関係を解析した.主成分分析を行ったところ,第1主成分の寄与率は0.70となり,その固有ベクトルは切り花重,切り花長,生育期間日数,収穫新鮮重が大きな正の値,平均温度,1日あたりの日射量,収穫本数で大きな負の値となった.栽培環境に関するパラメータの中で,温度が日射量よりも固有ベクトルの絶対値が大きかったので,平均温度と切り花に関するパラメータを回帰分析したところ,生育期間日数,収穫新鮮重,切り花長,切り花重は温度の上昇に伴って値が小さくなり,生産性を示す指標である1日あたりの収穫新鮮重,収穫本数,1日あたりの収穫本数は25℃付近での値が最も大きくなった.別途温度と光合成との関係をみた実験では,群落光合成の最適温度が25℃付近となることが示され,実際の生産性と光合成の適温とが一致することが判明した. 以上のような特性は,アーチング仕立て植物群落全体の光合成や呼吸のバランスが関与しているものと考えられる.また,栽培温度と生育期間日数,収穫本数および切り花品質の関係が定量的に示されたことから,栽培温度から収穫時期や切り花品質の予測が可能であると考えられ,システム分析的手法の適用による樹形管理ダイヤグラムのための重要なリソースが得られた.
|