2003 Fiscal Year Annual Research Report
農村地域におけるランドスケープのパターン変化が生物多様性に及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
15780030
|
Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
一ノ瀬 友博 姫路工業大学, 自然・環境科学研究所, 助教授 (90316042)
|
Keywords | 農村地域 / ランドスケープ / パターン変化 / 生物多様性 / 淡路島 / バリ島 / ため池 / 標識調査 |
Research Abstract |
今年度は、主に兵庫県淡路島北淡町とインドネシア共和国バリ島ベリンビン村で調査研究を実施した。兵庫県北淡町では、小規模ため池群の水質調査とトンボ類の標識調査を実施した。水質調査は、昨年度から継続して行っていたものであるが、今年度の初めまでの1年間のデータの分析を行った。研究対象地域は、北淡町南部に設定した。この黒谷地域は、標高515mの常隆寺山から播磨灘に向かう西向きの片斜面上に位置しており、斜面に沿って多くの棚田と小規模ため池が連なっている特徴的な景観を呈している。この黒谷地域において、4つの集水凹地のため池群、合計38個のため池を調査対象とした。その結果、電気伝導度、シリカ、CODでは夏季に値が高く、冬季に低い傾向があることがわかった。一方で、硝酸イオンは冬季に高い値を示す傾向が見られた。また、ため池群間で、変化のパターンに大きな違いは見られなかった。それ以外の項目については、ほとんど季節変化は見られなかった。すべてのため池の水位変動は、大きく2つに分かれた。すなわち、農業利用により春から夏の初めに最も高い水位だったものが、降水量が少ない夏の時期に最も水位が下がるパターンと1年を通して、ほとんど水位が変化しないため池であった。 上記の水質調査で対象としたため池から5箇所を抜き出し、2003年7月から10月の間にトンボ類の標識調査を実施した。その結果、合計19種3581個体に標識を行い、478個体を再確認、再捕獲し、再確認率は13.3%と非常に高い値を示した。また、72個体の移動が確認された。アオイトトンボの主な移動状況を図6に示した。これによると、尾根を超えて、谷から谷への移動は見られず、また同じ谷内でも、最も長くて150m程度の移動しか認められなかった。 2003年12月下旬には、インドネシア共和国バリ島ベリンビン村の農村地域において鳥類調査を実施した。調査結果については、現在分析中である。
|
Research Products
(1 results)