2005 Fiscal Year Annual Research Report
インドネシア発酵食品における有用微生物の探索とその機能利用
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15780052
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
小林 武志 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 助教授 (60242327)
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Keywords | 発酵食品 / 有用微生物 / 抗菌ペプチド / リステリア菌 / インドネシア / ビルジバチルス |
Research Abstract |
昨年度までの研究において、インドネシアの伝統的エビ発酵食品テラシより食中毒細菌リステリア菌に対し強い抗菌性を示すP2株を分離し、抗菌物質がタンパク系であることを明らかとした。また、P2株は、16S rRNA遺伝子解析よりVirgibacillus属細菌と同定され、新種細菌である可能性が極めて高いことを明らかとした。さらに、国立遺伝学研究所データベース上での比較から、P2株は深海分離微生物NT N53株(広島大、長沼:未発表)と極めて近縁種と考えられた。 本年度の研究では、NT N53株を入手してP2株と比較検討したところ、NT N53株もリステリア菌増殖阻害物質を産生していることを明らかとした。抗菌物質生産性はNT N53株のほうがP2株よりも若干優れていたので、NT N53株を使用して、抗菌物質の性状解明を行なった。本株をNaCl 5%-TSB培地で27℃、1日間振とう培養した。培養液上清の80%硫安沈殿を透析後、イオン交換クロマトグラフィー(CM-セルロファイン)に付して、リステリア菌に対する抗菌画分を分取した。さらに、限外ろ過で濃縮し、ゲルろ過クロマトグラフィー(S-200)に付したところ、2つの抗菌画分(活性A,活性B)を得た。各々をイオン交換クロマトグラフィー(Mono-S)に付し、抗菌画分を分取して精製品を得た。その結果、活性A,活性BともにトリシンSDS-PAGE上で1バンドとなり、分子量はいずれも約5kD程度と推定された。また、アミノ酸分析計で全アミノ酸組成を解析したところ、双方とも塩基性のアミノ酸を多く含有することが判明した。さらに、アミノ酸シーケンサーで解析したが、両物質ともにN末端側はブロックされていた。 なお、培養上清の抗菌スペクトルの検討から、P2株、NT N53株双方がリステリア菌だけでなく魚病細菌の一部に対し抗菌活性を示すことも明らかとした。水産養殖における魚病細菌の制御に応用できる可能性が考えられたので、結果の一部を平成18年度日本水産学会において発表した。
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Research Products
(1 results)