2003 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質生合成を翻訳レベルで調節するヘム関連キナーゼのX線結晶構造解析
Project/Area Number |
15780066
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
黒河 博文 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (80359546)
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Keywords | タンパク質 / X線結晶構造解析 / ヘムセンサー |
Research Abstract |
広義の蛋白質生合成、すなわち遺伝情報の発現過程は、DNAからmRNAへの転写段階ぱかりでなく、転写後も様々な調節を受けている。この中でも翻訳段階での調節は、ヒートショックや栄養欠乏といったストレスへの応答という観点からも重要で、近年、盛んに研究がなされている。本研究ではストレス(ヘム濃度低下)に応答してmRNAから蛋白質への翻訳を阻害するheme-regulated eIF-2α kinase (HRI)に着目した。HRIは基質である翻訳制御因子(eIF-2α)をリン酸化することによって、mRNAから蛋白質への翻訳を阻害するキナーゼであり、そのN末端領域(約140残基)がヘム結合部位としてストレスセンサーとして働いていると考えられている。本研究ではHRIの分子内シグナル伝達の初期段階での構造変化を解明するために、HRIのN末端ヘム結合ドメインのX線結晶構造解明を主な目的としている。結晶化には一般的に大量の蛋白質サンプルが必要であるが、HRIヘム結合ドメインに相当するフラグメントは大腸菌による大量発現系が確立している。高純度に精製した蛋白質サンプルを用いて結晶化のスクリーニングを行った。様々な結晶化スクリーニングキットと結晶化用恒温装置を用いた4℃と25℃での条件検索により、ヘム結合状態において、微結晶を得ることができた。今後は更に結晶化条件を検討し、X線結晶構造に適した大きな結晶を調整する予定である。
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