2003 Fiscal Year Annual Research Report
TIMバレル型酵素のN,C末端相互作用と安定性の相関と酵素の環状化による安定化
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15780078
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Research Institution | National Food Research Institute |
Principal Investigator |
金子 哲 独立行政法人食品総合研究所, 生物機能開発部, 主任研究官 (90343821)
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Keywords | キシラナーゼ / 糖質加水分解酵素ファミリー10 / 熱安定性 / N、C末端相互作用 |
Research Abstract |
放線菌由来ファミリー10キシラナーゼ(SoXyn10A)はTIM-バレル構造を持つ触媒ドメイン、糖結合ドメインのファミリー13に分類されるキシラン結合ドメイン及び両ドメインを繋ぐリンカー配列で構成されており、インタクトな状態の結晶構造が既に明らかになっている。触媒ドメインは9個のα-ヘリックス(α0-8)と8個のβ-シート(β1-8)で構成されており、N末端(α0)とC末端(α8)のヘリックスが4つの水素結合と8つの疎水結合により相互作用している。この相互作用とキシラナーゼの安定性の相関を調べる為、変異体酵素を構築し、酵素活性、安定性について検討を行った。本酵素の触媒ドメインは303個のアミノ酸で構成されるが、299番目のアミノ酸までC末端から1アミノ酸ずつ欠失させた場合、酵素活性は全く変化しなかったが、熱安定性は徐々に低下した。グアニジン塩酸存在下での安定性はC末299番目までの変異体のみがより不安定であったが、他の変異体酵素は天然型と全く同じ安定性を示した。このことからLeu-300までで形成される疎水コアによりN末端とC末端部分が相互作用し、分子全体を安定化しており、Glu-2及びGln-11とAsn-300の間で形成される水素結合が疎水コアを覆い、疎水性のアミノ酸が分子の表面に現れるのを防ぐことで安定化している事が示唆された。SoXyn10Aより熱安定性の高いキシラナーゼの両末端をSoXyn10AのN、C末端で置換した変異体酵素では酵素活性及びグアニジン塩酸中での安定性は天然型と変わらなかったが、熱安定性が低下し、SoXyn10Aと同じになった。このことからN、C末端の相互作用の強さと熱安定性には密接な相関関係があることが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)