2003 Fiscal Year Annual Research Report
植物の防御反応を誘導するペプチドのコンビナトリアル化学の手法による探索
Project/Area Number |
15780087
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮下 正弘 京都大学, 農学研究科, 助手 (80324664)
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Keywords | ペプチド / 植物防御反応 / コンビナトリアル化学 / ハイスループットスクリーニング / 過酸化水素 |
Research Abstract |
植物に防御反応を誘導する新規ペプチドの探索を目的として、コンビナトリアルペプチドライブラリに適応するハイスループットスクリーニング法の構築を行った。植物材料としてタバコ懸濁培養細胞を用い、過酸化水素の発生を指標としたスクリーニング法について検討を行った,本研究では、ペプチドはビーズに固定した状態で取り扱うが、細胞を用いて活性を測定するため、活性測定時にはペプチドは遊離している必要がある。そのため、温和な条件で切断反応が行え、その切断量を制御しやすい光切断型リンカーを有するビーズを用いることとした。ペプチドビーズ約1000個(ポジティブコントロールであるflg15を数個含む)をシャーレ上で0.8%アガロース中に分散させて固定した後、1分間UV(365nm)照射することで、一部のペプチドのみ(〜10%)をビーズから遊離させた。このアガロース層を、予め作製しておいたタバコ懸濁培養細胞層上に重層して密着させた後、過酸化水素検出試薬(DA-64)をその上より加えた。その結果、DA-64処理15分後には、細胞層上にいくつかの青緑色の発色円が観測された。発色した部位のアガロース中には10〜20個程度のビーズが含まれていたため、再度上記と同様の操作を繰り返し行い、活性を示すペプチドビーズを特定した。このビーズを回収し、結合しているペプチドのアミノ酸配列をエドマン分解法により決定したところ、flg15のものと一致した。以上のことから、光切断型リンカーを用い、植物培養細胞層上での過酸化水素の発生を指標とした本手法は、1回に約1000個のペプチドの効率的スクリーニングが可能であり、一般的に数千〜数万種類のペプチドを含んでいるコンビナトリアルライブラリーのスクリーニング法として十分であることがわかった。
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