2003 Fiscal Year Annual Research Report
食品タンパク質の経口投与で誘導されるT細胞応答低下の分子機構の解析
Project/Area Number |
15780093
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊勢 渉 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (70323483)
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Keywords | T細胞 / 経口免疫寛容 / 遺伝子発現 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
1)抗原の経口投与により誘導されるT細胞の細胞生物学的特性の解析 オボアルブミン(OVA)に特異的なT細胞レセプター(TCR)を発現するトランスジェニックマウスDO11.10にOVAを経口投与し、経口免疫寛容を誘導した。このマウスより調製したT細胞のin vitro抗原応答性を解析し、このT細胞の増殖応答がアポトーシスによって制御されていることを見いだした。またCD62LあるいはCD44の発現パターンから機能的に異なるT細胞集団を識別できることも見いだした。すなわちCD62L^<low>CD44^<High>T細胞は強い免疫抑制活性を持つことを明らかとした。 2)経口免疫寛容を誘導されたT細胞に特異的に発現する遺伝子の探索 Subtraction法により経口免疫寛容状態にあるT細胞に高発現する遺伝子を11個同定した。これらについては全長cDNAをT細胞ハイブリドーマに導入して、IL-2遺伝子の転写活性に与える影響をルシフェラーゼアッセイにより検討した。その結果、本研究で得られた遺伝子の中にはIL-2遺伝子の転写活性を抑制するものが存在することが明らかとなった。 3)経口免疫寛容を誘導されたT細胞のTCRを介したシグナル伝達の解析 経口免疫寛容状態にあるT細胞では免疫シナプス形成に障害があることを見いだした。細胞骨格の再編成を担うvavの活性化低下が認められたことから、これが原因であると考えられた。さらに経口免疫寛容状感にあるT細胞におけるシグナル伝達分子の発現量を検討したところ、lck, fynなどのチロシンキナーゼの量は変化しないものの、チロシンホスファターゼであるSHP1の量が増大していることが判明した。またT細胞内のチロシンホスファターゼ活性も増大していることを見いだした。
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[Publications] T.Kaji, et al.: "Proteome analysis reveals caspase activation in hyporesponsive CD4 Tlymphocytes induced in vivo by the oral administration of antigen."J.Biol.Chem.. 278. 27836-27843 (2003)
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[Publications] T.Yoshida, et al.: "Interleukin12 and CD86 regulate Th1 and Th2 development induced by a range of antigen doses presented by Peryer's patch and spleen cells"Cytotechnology. (in press). (2004)
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[Publications] M.Hibi, et al.: "Dendritic cells from spleen, mesentric lymph node and Peyer's patch can induce both production of IL-4 and IFN-γ of naive CD4^+ T cells in their primary culture, depending on antigen doses."Cytotechnology. (in press). (2004)
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[Publications] T.Gotoh, et al.: "Identification of the genes specifically expressed in orally tolerized T cells."Cytotechnology. (in press). (2004)