2004 Fiscal Year Annual Research Report
細菌由来物質がマウス小腸上皮細胞の抗原提示機能に及ぼす影響の解析
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15780094
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山田 潔 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 寄附講座教員 (30313076)
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Keywords | 小腸上皮細胞 / 初代培養細胞 / T細胞 / 細菌由来物質 / 抗原提示 / 腸管免疫 / 炎症性サイトカイン / ケモカイン |
Research Abstract |
本研究では、抗原特異的なT細胞の増殖応答に対する小腸上皮細胞(IEC)の抑制作用および細菌菌体に対するIECの炎症性サイトカイン遺伝子発現について解析を行った。 卵白アルブミン(OVA)特異的なT細胞抗原レセプター遺伝子をもつトランスジェニックマウス由来の脾臓CD4陽性T細胞をOVAペプチド存在下で脾臓由来抗原提示細胞と共培養し、マウス胎仔由来初代培養IECの添加による増殖応答の変化を解析した。T細胞の増殖応答は添加したIECの細胞数依存的に抑制された。この抑制効果は、IECの培養上清の添加によっても認められた。また、この抑制効果は抗IL-10抗体の添加によっては影響を受けなかった。初代培養マウスIECの培養上清中に含まれるIL-10の濃度は検出限界以下であったが、TGF-βは加熱による活性化処理をした場合のみ検出された。以上の結果から、初代培養マウスIECによる抗原特異的なT細胞増殖の抑制に、少なくとも何らかの液性因子が関与することが示唆された。 これまでに、初代培養マウスIECがリポポリ多糖(LPS)、ペプチドグリカン(PGN)に応答し、炎症性サイトカインやケモカインの遺伝子発現を上昇させることが示されている。そこで、ヒト糞便由来乳酸菌20菌株に対する初代培養IECの応答を解析した。その結果、L.caseiに属する1菌株においては、未破砕菌体に対する初代培養IECの遺伝子発現応答はPGNに対するものとほぼ同様の挙動を示す一方で、破砕処理菌体に対してはIL-1β、TNF-αなどの炎症性サイトカインの遺伝子発現上昇が抑制された。さらに、破砕処理菌体をDNase処理することでこの抑制が回復すること、菌体から抽出したDNAはIECの炎症性サイトカインの遺伝子発現を誘導しないこと、抽出DNAの添加により未破砕菌体が誘導するIL-1β遺伝子の発現上昇が抑制されることが示された。
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Research Products
(1 results)