2005 Fiscal Year Annual Research Report
細菌由来物質がマウス小腸上皮細胞の抗原提示機能に及ぼす影響の解析
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15780094
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山田 潔 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 寄付講座教員 (30313076)
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Keywords | 小腸上皮細胞 / 初代培養細胞 / 細胞株 / 抗原提示 / 腸管免疫 / リポ多糖 / ペプチドグリカン / T細胞 |
Research Abstract |
本研究では、小腸上皮細胞(IEC)による抗原特異的なT細胞の増殖応答の誘導および抑制について解析を行った。IECとしてマウス由来初代培養IECあるいは初代培養IECから樹立した細胞株を用いた。樹立したマウスIEC細胞株におけるMHCクラスII分子、CD80、CD86の恒常的な発現はほとんど認められなかった。一方、IFN-γ存在下で培養することによって、MHCクラスII分子の発現が強く認められたが、CD80、CD86の発現に顕著な変化は認められなかった。微生物由来物質であるリポ多糖(LPS)、ペプチドグリカン(PGN)による刺激によっても、これらの分子の発現に顕著な変化は認められなかった。卵白アルブミン(OVA)特異的なT細胞抗原レセプター遺伝子をもつトランスジェニックマウスの脾臓、腸間膜リンパ節由来T細胞の抗原特異的な増殖応答は、IFN-γ存在下で前培養したIEC細胞株によってのみ認められた。一方、粘膜固有層由来T細胞に対して、IFN-γ処理の有無に関わらずIEC細胞株は抗原特異的増殖応答を誘導した。小腸上皮内リンパ球から分離したCD4陽性T細胞に対しては、IEC細胞株あるいは脾臓細胞を抗原提示細胞とした場合のいずれにおいても、抗原特異的増殖応答は誘導されなかった。脾臓由来CD4陽性T細胞をIFN-γ処理IEC細胞株とOVAタンパクの共存下で培養した場合には、増殖応答の誘導は認められなかった。初代培養IECの培養上清の添加によって認められるT細胞の増殖抑制効果について、液性因子の同定を試みた結果、加熱耐性の低分子であることが示された。また、上清中にはプロスタグランジンE2(PGE2)が検出された。PGE2合成阻害剤であるインドメタシン存在下で培養した結果、IEC培養上清中のT細胞増殖に対する抑制効果が消失したことから、PGE2が主要な液性抑制因子であることが示唆された。
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