2003 Fiscal Year Annual Research Report
凍結食品中の氷結晶の再結晶化挙動とテクスチャーの劣化に関する研究
Project/Area Number |
15780097
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Research Institution | 東京水産大学 |
Principal Investigator |
萩原 知明 東京海洋大学(東京水産大学), 水産学部, 助手 (20293095)
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Keywords | 再結晶化 / 氷結晶 / 冷凍食品 / 凍結貯蔵 / 画像解析 / テクスチャー / 凍結置換固定法 / SEM |
Research Abstract |
食品冷凍技術は食品本来の品質をそのままに近い状態で保存できる優れた保存技術であり、広く用いられている。しかしながら、まだ解決されなければならない問題を抱えている。その一つが、再結晶化と呼ばれる保存中における氷結晶の成長である。再結晶化が起きると、食品の組織破壊が生じ解凍後の食品のテクスチャーが劣化することになる。 本研究では、こうした再結晶化によるテクスチャーの劣化の問題に対処するため、まず、再結晶化による氷結晶の成長過程の速度論的把握を行う。あわせて氷結晶の大きさと解凍後のテクスチャーとの相関を調べる。そして、氷結晶の大きさの変化予測に基づき、再結晶化によるテクスチャーの劣化を予測することを目的としている。 本年度の実績は以下の通りである。 1.食品中の氷結晶構造の観察方法の確立 魚肉などのタンパク質を多く含んだ食品中の氷結晶構造を、凍結置換固定法を用いて観察するためのプロトコルを確立することができた。根菜類、穀類については、クライオSEMによる観察を試みたところ、凍結に伴う細胞組織の変化が確認できたが、氷結晶構造のみを区別して観察することは困難であった。この点については、今後改善する余地がある。 2.氷結晶の大きさの定量的解析方法の確立 顕微鏡観察画像をデジタルデータ化し、そのデータを数値的に解析することにより、氷結晶の平均粒径を算出するための手順を確立できた。この際に、顕微鏡デジタルカメラを導入することにより、顕微鏡観察画像を迅速に処理することが可能となった。 3.テクスチャーの評価手法の確立 魚肉、根菜等の食品のテクスチャーを、レオメーターを用いて定量的に評価する方法を確立した。測定試料の形状を工夫することにより、再現性のある測定データを得ることができるようになった。 以上
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