2004 Fiscal Year Annual Research Report
乳化剤の自己組織体を利用した水、油脂のエマルションゲル化に関する研究
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15780098
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
荒牧 賢治 国立大学法人横浜国立大学, 大学院・環境情報研究院, 助手 (80313469)
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Keywords | 乳化剤 / エマルションゲル / トリグリセリド / 可溶化 / キュービック相 / 小角X線散乱 / レオロジー |
Research Abstract |
ポリ(オキシエチレン)ドデシルエーテル(C_<12>EO_<25>)水溶液にグリセリントリオクタン酸エステル(GTO)を添加したときの相挙動を求めた。水-C_<12>EO_<25>軸上ではミセル、キュービック相の各相が現れ、GTOをキュービック相に加えると最大4%可溶化できた。可溶化限界を越えるとキュービック相と油相の2相平衡になり、キュービック相の融解温度以上である80℃において十分に撹拌し、常温へ冷却することにより、キュービック相のマトリックス中に油滴が取り込まれた高粘性のエマルション(エマルションゲル)が得られた。GTOの添加量を変えてキュービック相およびエマルションゲルの動的粘弾性測定を行なった。貯蔵弾性率および損失弾性率を求めると、キュービック相へのGTOの可溶化量が増すとともに、個体的性質が増すことが分かった。また、エマルションゲル中ではGTOの割合にかかわらず、貯蔵弾性率が損失弾性率を上回っており、固体的であることが分かった。ただし、エマルションゲル中のGTO割合が増すと両パラメータの絶対値は減少した。サンプル全体のかたさの指標となる複素粘性率をGTOの割合を変化させて比べると、キュービック相中ではGTOの可溶化量が増すと複素粘性率は増加し、逆に、エマルションゲル中では油の割合が増すと減少することが分かった。キュービック相中のミセルの大きさを小角X線散乱測定により求めると油の可溶化量が増すとともに大きくなっていることから、キュービック相中のミセルの体積分率の増加が複素粘性率の増加に寄与していると考えられる。エマルションゲルのかたさは主に連続相であるキュービック相の粘性率に依存するため、エマルションゲル中のGTOの割合が増すと複素粘性率は低下すると考えられる。
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