2003 Fiscal Year Annual Research Report
トリプトファン代謝物キノリン酸の細胞毒性とその防御機構に関する分子栄養学的研究
Project/Area Number |
15780101
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
福渡 努 滋賀県立大学, 人間文化学部, 助手 (50295630)
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Keywords | キノリン酸 / トリプトファン / 細胞毒性 / キノリン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ / ノックアウトマウス / 分子栄養学 |
Research Abstract |
トリプトファン代謝物であるキノリン酸は細胞毒性を持ち,中枢神経系疾患発症の一因とされている.本研究では,キノリン酸を代謝しうる唯一の酵素であるQPRTase遺伝子破壊マウスを作成し,このマウスに大量のキノリン酸を蓄積させ,組織の機能や組織像を解析することによりキノリン酸の毒性を明らかにすることを目的としている.本年度は,QPRTase遺伝子破壊マウスの作成,およびこのマウスの成育に必要なトリプトファン制限食の作成を行った.QPRTase遺伝子破壊マウスの作成については,マウスQPRTasecDNAおよび遺伝子を取得し,QPRTase遺伝子破壊のためのベクターを構築した.このベクターをES細胞に導入し,薬剤(G418)耐性クローンを選抜した.標的遺伝子の破壊が行われていること,クローンが正常核型(2n)であることを確認し,以後の操作は業者に委託した.ブラストシストヘのES細胞のインジェクション,仮親への胚の移植の後,現段階ではキメラマウスを得ている.トリプトファン制限食の作成については,様々なトリプトファン制限食を与えたマウスについてナイアシシ栄養を示す指標を調べた.トリプトファンが第一制限アミノ酸となるように他のアミノ酸を適量添加し,糖質源をスクロースとした.15%ツェイン食に0,0.03,0.07%となるようトリプトファンを添加した食餌を作製した.0.03%トリプトファン食において,ニコチン酸添加によって体重増加量,食事摂取量,肝・腎中のNAD・NADP含量,尿中のニコチンアミド総代謝産物量が改善した.0%および0.07%トリプトファン食においては,ニコチン酸添加の影響はないことから,0%食はトリプトファン欠乏食,0.07%食はナイアシン欠乏にならない食餌であることが示された.以上より,トリプトファン制限食の作成に成功した.
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