2003 Fiscal Year Annual Research Report
大型野生動物の生息環境利用を考慮した森林管理区分に関する研究
Project/Area Number |
15780115
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長谷川 尚史 京都大学, 農学研究科, 助手 (70263134)
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Keywords | 森林 / 大型野生動物 / 生息環境利用 / GPSテレメトリ |
Research Abstract |
人工林の施業区分を行う上で,野生動物の生息地評価は重要な評価基準の一つであると考えられる。本研究は,大型野生動物(主にニホンツキノワグマ)の生息域を配慮した人工林の適切な森林配置について,情報収集手法および評価手法の確立を目的として行うものである。 本年度の研究項目として,(1)野生動物の行動データの取得,(2)野生動物の行動位置における林分データの取得,(3)測位成功率評価モデルの構築,(4)GISの構築の4項目を挙げていたが,ツキノワグマの捕獲に失敗したため,(1)および(2)に関しては次年度に先延べし,(3)(4)の内容を更に深く掘り下げ,主に森林におけるGPSテレメトリデータの信頼性について研究を行った。 まず,測位成功率評価モデルを構築するために,樹冠下におけるGPS信号の不連続性の評価指標の検討を行った。各林況におけるGPS信号の瞬断確率曲線の傾きをSPSIと定義した。観測時間およびSPSIを独立変数とし,(1)精密度を従属変数とした重回帰分析,(2)Fix確率を従属変数としたロジスティック回帰分析,を行ったところ,それぞれ有意な結果が得られた。これらの結果から,信号の不連続性はSPSIとして表すことができ,SPSIは測位精度およびFix確率の評価指標となることが明らかになった。次に,GPS測位精度の季節変化の評価を行った。落葉広葉樹林内において,開葉直後から落葉までの期間,毎週定点測位を行い,測位精度と開空度,衛星配置,信号強度などの関係を調べた。その結果,開空度の減少により信号強度が低下するが,干渉測位およびDGPSにおける測位精度を大きく劣化させるまでには至らず,むしろ捕捉衛星数(短時間測位の場合)あるいはPDOP(長時間測位の場合)の変化による影響の方が大きいことが明らかになった。
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