2005 Fiscal Year Annual Research Report
「兵糧攻め制御法」によるマツノザイセンチュウの森林生態系への取り込み
Project/Area Number |
15780120
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
前原 紀敏 独立行政法人森林総合研究所, 森林昆虫研究領域, 主任研究員 (20343808)
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Keywords | マツノザイセンチュウ / マツノマダラカミキリ / 青変菌 / 線虫制御 |
Research Abstract |
本研究の目的は、マツ枯死木材内で餌(青変菌)をなくすことによって病原体マツノザイセンチュウ(以下線虫と略記)の増殖を抑える、すなわち、線虫を「兵糧攻め」にするという発想に基づいて、菌類による病原線虫の制御法を開発することである。 14年12月に候補菌を接種した枯死木丸太から15年6月から7月にかけて羽化脱出してきたカミキリ成虫219頭の初期保持線虫数は、0〜47,800(平均値±標準偏差=3,766.3±6,584.4)頭であった。候補菌6菌株のうち1菌株の接種区において、菌を接種しなかった対照区と比較してカミキリの初期保持線虫数が減少する傾向が見られた。また、初期保持線虫数が1,000頭未満のカミキリの割合が、対照区では25.0%にすぎなかったのに対し、先の候補菌1菌株を接種した場合には81.8%にもなり、菌接種の効果が見られた。そこで、この菌を有望菌とした。 16年12月に有望菌を接種した枯死木丸太から17年6月から8月にかけて羽化脱出してきたカミキリ成虫75頭の初期保持線虫数は、0〜122,000(平均値±標準偏差=8,730.2±21,773.4)頭であった。有望菌接種の効果は、あまり見られなかった。 室内実験の結果から、この有望菌が効果を発揮するには青変菌より先に広がる必要があることが明らかになっており、12月接種だとすでに青変菌が広がってしまっている場合もあって、効果がばらついたと思われる。安定した効果を期待するには、マツの枯死後早い時期に有望菌を接種する必要がある。
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Research Products
(2 results)