2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15780129
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高津 哲也 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 助手 (50241378)
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Keywords | 水産学 / イカナゴ / 加入 / 耳石 / 日周輪 / 孵化日組成 / 成長速度 / 餌密度 |
Research Abstract |
イカナゴの加入量予測を可能とするために,陸奥湾に出現する浮遊仔魚と着底稚魚の耳石日周輪から孵化日組成と成長速度を推定し,初期生残にかかわる「マッチ・ミスマッチ仮説」と「成長-被食仮説」を検証した。 1.2003年2月26日-5月9日に青森県陸奥湾で採集したイカナゴ浮遊仔魚の扁平石耳石の日周輪を解析し,核を中心とする平均直径16.4μm(標準偏差1.71μm)の通常よりも太い輪紋を確認した。この太い輪紋は孵化仔魚の耳石径(Tsukamoto et al.,2002)とほぼ一致することから,孵化輪と判断された。 2.仔魚の日齢-体長関係は1次回帰式[体長(mm)=0.271・日齢(day)+5.37 (r^2=0.88,体長範囲:4.9-30.6mm)]で近似でき,日間成長量は0.271mm/dayと推定された。 3.仔魚の耳石径-体長関係はアロメトリー式[体長(mm)=0.0259耳・石径(μm)^<0.637>(r^2=0.88)]で近似できた。この式により,耳石径から過去の体長の逆算が可能となった。 4.浮遊仔魚の孵化日組成のピークは3月下旬であった。 5.浮遊仔魚を20日齢以下と,20日齢以上のグループに分け,さらにそれらを前期孵化群(3月17日以前)と後期孵化群(3月18日以降)の,合計4グループに分けて,日齢5日ごとの輪紋幅を比較した。その結果,いずれのグループ間でも有意差はみられなかったことから(2元配置の分散分析,日齢間:p=0.15,孵化時期間:p=0.50),少なくとも2003年については浮遊期間中に成長速度依存的な死亡は認められなかった。この原因として,調査期間中の生息水温(1元配置の分散分析,p=0.44)と,かいあし類ノープリウス密度(2元配置の分散分析,採集時期間:p=0.67,採集水深間:p=0.18)に有意差がみられなかったことが影響した可能性が考えられた。
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