2003 Fiscal Year Annual Research Report
魚類群集に対するコアマモ場の機能の解明―環境修復(海草藻場造成)を視野に入れて―
Project/Area Number |
15780134
|
Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
堀之内 正博 島根大学, 汽水域研究センター, 助教授 (30346374)
|
Keywords | コアマモ場 / 海草藻場 / 魚類群集構造 / 潜水観察 / 宍道湖 / 中海 |
Research Abstract |
アマモ類の形成する海草藻場のうち、コアマモZostera japonicaが形成する群落、すなわちコアマモ場を魚類がどのように利用しているのか、あまり明らかにされていない。そこでまず平成15年度は、島根県中海・宍道湖のコアマモ場の魚類群集の構造を明らかにするために、夏季から冬季の各季節にコアマモ場に設定した5本のトランセクト(20m^2)において潜水観察を行い、出現各種の個体を計数した。同時にコアマモ場周囲の砂泥地等でも同様の調査を行った。夏季から冬季にかけて中海・宍道湖のコアマモ場には合わせて4科8種の魚類が出現した。種数で最も多かったのはハゼ科で5種が記録された。最も出現個体数が多かったのはマハゼで、全体の約45%を占めていた。出現種数と総密度には季節変化がみられ、夏季と秋季に多かったが、冬季には魚類はほとんど出現しなかった。魚類群集構造をハビタット間で比較したところ、コアマモ場と他のハビットでは大きく異なった群集が形成されていることがわかった。すなわちコアマモ場は種数や密度が高く、また生物多様性も高いため、地域の生物多様性に大きく貢献する場所であるといえた。ただ、例えば神奈川県油壷の海草藻場と比較すると中海・宍道湖のコアマモ場における出現魚種数や密度は顕著に低い。この現象がコアマモ場に特有なものなのか、それとも調査地の地域的特性に起因するのか、明らかにする必要がある。 このような魚類群集研究では、出現する種とそれらの個体数をいかに正確に記録するかということが重要であるが、海草藻場における目視観察の特性についてはまだほとんどわかっていない。そこで、油壼の海草藻場において目視観察の特性を調べ、その結果をまとめたものを現在、投稿中である。さらに油壷では海草藻場を利用する魚類の分布パターンの決定要因について野外実験などによる調査を行った。現在その結果について解析中である。
|
Research Products
(1 results)