2003 Fiscal Year Annual Research Report
魚類白血球における病原真菌受容体とシグナル伝達物質の探策
Project/Area Number |
15780137
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
倉田 修 日本獣医畜産大学, 獣医学部, 講師 (90277666)
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Keywords | 魚類 / コイ / 白血球 / ガラクトース結合性タンパク / チロシンリン酸化 / レセプター / Aphanomyces piscicida / 真菌 |
Research Abstract |
多くの温水性淡水魚類がAphanomyces piscicidaに起因する真菌性肉芽腫症の宿主となる中で、コイは抵抗性を示す魚種として知られている。我々は、コイの持つ抵抗性に着眼し、本菌に対するコイの生体防御機構を明らかにすることで、病原真菌に対する魚類免疫能を解明しようと研究を進めている。これまでに、A.piscicidaが産生するガラクトース結合性タンパク(GBP)を見出し、本タンパクがコイ白血球の活性化を誘導することを明らかにした。GBPによる白血球の活性化に伴うシグナル伝達機構を明らかにすることを目指し、本研究では、GBP刺激白血球におけるタンパク質のリン酸化について解析した。その結果、GBPで刺激された白血球は、無刺激の白血球に比べ、一部のタンパクにチロシンリン酸化の上昇が観察された。一方、セリンおよびレオニンのリン酸化に顕著な変化は認められなかった。次に、GBP刺激によりチロシンリン酸化を受けたタンパクが、白血球膜タンパクであるかを確認した。白血球膜タンパクにビオチン標識を行い、ビオチン-膜タンパク白血球を作成した。この標識白血球に対しGBP刺激を行い、タンパクのチロシンリン酸化を誘導したチロシンリン酸化タンパクを抗リン酸化チロシン抗体を用いた免疫沈降法により回収し、回収タンパクにおけるビオチン標識の有無を確認した。その結果、GBP刺激によりチロシンリン酸化を受けたビオチン陽性タンパクが認められた。このことから、GBPにより誘導されるチロシンリン酸化はある種の膜タンパクで起きていることが分かった。以上のことから、GBP刺激によるチロシンリン酸化タンパクを介したシグナル伝達機構がコイ白血球に存在することを示唆し、チロシンリン酸化タンパクはコイ白血球膜表面のGBPレセプタータンパクである可能性が示された。
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