2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15780139
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田中 啓之 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 助手 (90241372)
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Keywords | 付着生物 / イガイ / 足糸 / 足糸タンパク質 / アカザラガイ |
Research Abstract |
アカザラガイ足糸を7M塩酸グアニジン、10mM Tris-HCl(pH7.6)、または7M塩酸グアニジン、5%酢酸中でホモジナイズし、足糸タンパク質の抽出を試みた。その結果、後者の抽出液を用いると、少量の足糸タンパク質が可溶化し、抽出が可能であることが確認できた。この足糸タンパク質は0.1%トリフルオロ酢酸に可溶で、SDS-PAGEによって、分子量約50,000を示した。またその際、分子量約100,000および200,000のバンドもわずかながら認められたことから、部分的に多量体化していることが示唆された。さらに、分子量50,000のバンドをPVDF膜に転写し、N端から16残基のアミノ酸配列を分析したところ、既報のイガイ類足糸タンパク質のアミノ酸配列とは相同性を示さない一方、昆虫の外骨格クチクラタンパク質との相同性が検出され、新規の足糸タンパク質である可能性が考えられた。また、この16残基のアミノ酸配列中には何らかの修飾アミノ酸が1残基含まれていることが示され、それはL-DOPAではないことが確認できた。さらに、得られたアミノ酸配列に基づき、オリゴDNAセンスプライマーを合成し、3'-RACE法によって、アカザラガイの足より、この足糸タンパク質をコードするcDNAをクローニングすることを試みたが、特異的な増幅を行えなかった。来年度は、このタンパク質を断片化し、得られた断片のアミノ酸配列を調べて、アンチセンスプライマーを合成し、先述のセンスプライマーと組み合わせてRT-PCRを実施する。また、クローニングしたcDNAを用いて、酵母Two-Hybrid systemにより、この足糸タンパク質と相互作用するタンパク質をスクリーニングし、この足糸タンパク質が細胞内および細胞外でどのようなプロセスを経て足糸となるのかを解明する手掛かりを得ることを試みる。
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