Research Abstract |
本年度は珪藻Thalassiosira sp.を材料としてその単離精製を試み,珪藻Thalassiosira sp.におけるAlaラセマーゼの精製法を確立することができた(2004年度日本水産学会東北支部大会にて発表済)。約300g(湿重量)を用いて粗酵素液を調製したが,珪藻に含まれる多糖類を除去するため,初めにToyopearl Butyl-650Mカラムクロマトグラフィーに供してAlaラセマーゼを吸着させた(多糖類は非吸着部に溶出)。グラジエント溶出の結果,Alaラセマーゼ活性は2つに分かれた。それぞれの活性画分について,さらにToyopearl DEAE1-650M,Hydroxyapatite,Sephacryl S-200HRの順でカラムクロマトグラフィーを行った結果,疎水性の弱い方(Iとする)は精製途中で失活したが,強い方(IIとする)の活性について精製を進めることができた。その結果,Hydroxyapatiteで,活性はさらに3つに分かれ,そのうち2つの活性(II-1およびII-2とする)について精製を進め(もう1つは失活),SDS-PAGEによる純度検定を行った。その結果,バンドが1本であったため,電気泳動的に精製は完了したと考えられる。両酵素の分子量はいずれもSDS-PAGEで約38kDa,ゲルろ過で約90kDaであったことから,38kDaの2量体と推測された。 精製酵素の化学的性状を調べた結果,両酵素の至的pHはいずれも9.0で,D-およびL-Alaのみを特異的に基質とした。バクテリアのAlaラセマーゼは活性発現にピリドキサール5'-リン酸(PLP)を補酵素として要求するが,本酵素はPLPの新たな添加を必要としなかった。しかし,PLP酵素を阻害する試薬による影響を調べた結果,強度に阻害されたことから,本酵素もPLP酵素と推測された。バクテリア酵素に比べPLPとの結合力が強いと考えられる。
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