2004 Fiscal Year Annual Research Report
農業季節労働者の雇用における労働市場サービスの意義と課題
Project/Area Number |
15780151
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
李 哉ひょん 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (60292786)
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Keywords | 野菜・果樹経営 / 季節農業労働力雇用 / 労働市場サービス / Farm Labor Contractors / 雇用コスト |
Research Abstract |
本研究は、野菜・果樹経営の季節農業労働者雇用の実態を整理した上で、雇用労働力の確保・雇用において野菜・果樹経営が抱える問題への一つの解決策として、労働市場サービスの利用が雇用農業経営にもたらしうる経済的効果とともに、季節農業労働者を迅速かつ安定的に確保・雇用しうる労働市場サービス提供のあり方を明らかにしたものである。なお、分析においては、野菜・果樹産地において実施されている「農作業無料職業紹介事業」、「季節労働力の委託募集」、「農作業受託事業」などの現地調査が行われたほか、アメリカの野菜・果樹農場が積極的に利用しているFLC(Farm Labor Contractors)の実態やアメリカの労働関係法なども分析を対象となった。このような調査分析により、以下のことを明らかにした。 第一は、労働市場サービスの提供は、季節農業労働力の情報さがしにかかる取引コストの節約をもたらし、雇用労働力の迅速かつ安定的な供給を可能とすることにより、雇用農家の雇用コストの低減に大きく役立つということである。 第二は、大規模野菜または果樹地帯で実施されている多様な労働市場サービス事業の仕組みの中には、労務管理の一部の機能が含まれている事例があり、このことが雇用農家にとって労働場サービスの利用するもっとも大きな動機であったということである。なお、アメリカの農場が利用しているFLCの利用動機も、被雇用者の管理業務をFLCに代行させることによりペーパーワークから逃れることであった。 第三は、近年、季節農業労働者として農業現場で働いている人々は都市部の住民が多く、かつ単なる賃金目当てではない「農家や農村住民との交流」を目的としているケースが多いということである。従って、労働市場サービスの内容によっては、雇用を通じた「都市・農村交流」または「生産者と消費者の交流」への道も開けることが考えられる。
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