2003 Fiscal Year Annual Research Report
アディポジェネシスにおけるグレリンとグレリン受容体の生理学的役割
Project/Area Number |
15780178
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
盧 尚建 信州大学, 農学部, 助教授 (90322130)
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Keywords | グレリン / 成長ホルモン / 脂肪細胞 / グレリン受容体 |
Research Abstract |
成長ホルモンの分泌は、これまで視床下部ホルモンであるGHRH(促進)とソマトスタチン(抑制)によって制御されていると考えられていた。一方、GHS受容体(GHS-R)と呼ばれるオーファン受容体を介した制御機構も存在することが報告され、新たな内因性成長ホルモン分泌刺激ホルモンとして胃分泌物質、グレリンが発見された。しかし、グレリンの脂肪形成(アディポジェネシス)、脂肪細胞における作用機構およびグレリン受容体の発現機序についてはまだ不明である。したがって、我々は脂肪細胞形成におけるグレリンとグレリン受容体の役割を調べた。 In vitroで、めん羊皮下脂肪由来の脂肪前駆細胞の分化前、分化後3、7および10日目に細胞よりtotal RNAを抽出し、RT-PCR法により、グレリン受容体mRNAレベルを測定した。コンフルエントされた脂肪前駆細胞においてはGHS受容体の発現は見られなかったが、分化開始3、7および10日目と分化の進行に伴い、発現量は有意に増加した。さらに、ラット前駆脂肪細胞の分化中にもグレリン受容体の発現量はめん羊前駆脂肪細胞と同様に増加した。ラット脂肪細胞での発現量も月齢に伴い発現量は有意に増加したが、脂肪細胞における脂質分化能を抑制する傾向が観察された。以上の結果の一部は2003年Endocrinology 144巻の754ページに掲載された。平成16年度にはグレリン受容体拮抗剤などを用いて脂肪細胞において生理的な機能を検討する予定である。
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