2003 Fiscal Year Annual Research Report
ブロイラーにおけるリポ酸の脂質代謝調節とその実用的用途に関する研究
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15780182
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Research Institution | Akita Prefectural College of Agriculture |
Principal Investigator |
濱野 美夫 秋田県立大学短期大学部, その他部局等, 助教授 (10289746)
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Keywords | ブロイラー / リポ酸 / 肝臓 / アセチル-CoA / マロニル-CoA / 脂肪酸代謝 / 脂肪分解 / 遊離脂肪酸 |
Research Abstract |
生体で機能するビタミン様作用因子のリポ酸について、体外系(in vitro)試験による体組織のリポ酸に対する代謝反応を検討した。ブロイラーヒナを屠殺したあと直ちに脂肪組織、浅胸筋または肝臓を摘出し、組織薄片を作成した。冷培養液で洗浄後、3mlの培養液を入れた栓付きチューブに組織を秤りとり、気層を95%酸素・5%二酸化炭素のガスで置換し密栓した後、37℃で2時間インキュベートした。当初、培養液中にリポ酸を添加して代謝反応を分析したが、明確な反応が示されなかったため、事前にリポ酸(400ppm)を飼料添加により投与したニワトリで再度検討した。生体における血中成分ではこれまでと同様な、血漿グルコースの減少と遊離脂肪酸の増加が認められた。一方、血漿トリアシルグリセロールと超低密度リポタンパクには有意なリポ酸の影響がみられなかった。生体においてこのようなリポ酸の作用が認められた状況下で、上述と同様に各組織の薄片を、ノルアドレナリンが添加(0または10^<-5>M)された培養液中で2時間インキュベートした。 肝臓におけるアセチル-CoAおよびマロニル-CoA含量はリポ酸投与区で有意に増加した。また、脂肪組織ではリポ酸投与によるグリセロール放出量の有意な増加と、マロニル-CoA含量が低下する傾向が示された。リポ酸は骨格筋における乳酸の放出およびマロニル-CoA含量に影響を及ぼさなかった。さらにリポ酸の投与はいずれの組織においてもノルアドレナリンによる代謝反応を誘発しなかった。これらの結果から、これまでに示してきたリポ酸による血中遊離脂肪酸と中性脂肪の増加反応は、脂肪組織の脂肪分解反応の亢進だけでなく、肝臓において脂肪酸またはアセチル-CoAの酸化が低下することに起因することが考えられた。特に余剰に蓄積したアセチル-CoAはマロニル-CoAを介して脂肪酸合成に流れるものと示唆された。
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