2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15780183
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
新宮 博行 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 東北農業研究センター・畜産草地部・栄養飼料研究室, 主任研究官 (40355219)
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Keywords | 黒毛和種牛 / 糖代謝 / 窒素代謝 / 同位元素希釈法 / 代謝回転速度 / プールサイズ / 品種 / 尿素態窒素 |
Research Abstract |
【目的】我が国において主力肉用牛として飼養されている黒毛和種牛は、ホルスタイン種牛(乳用牛)に比べて筋肉内へ脂肪が入りやすい反面、同齢において黒毛和種牛とホルスタイン種牛を比較した場合、黒毛和種牛の成長速度が小さいため、成熟期に到達するまでに多くの時間を要し、成熟時でも骨格が小型になる短所がある。この原因に、成長ホルモン、インスリン等の内分泌能に違いがあるほかに、糖代謝や窒素代謝にも品種間で違いがあると想定されるため、同位元素希釈法を用いて体内におけるグルコース及び窒素代謝を定量的に解析した。【方法】哺乳期の黒毛和種牛及びホルスタイン種牛各5頭に対して、生後1週齢から6時間間隔で均等量哺乳を実施し、馴致開始10日後から安定同位体標識グルコース注入実験、安定同位体標識尿素注入実験をそれぞれ実施した。更に、反芻胃移行期である13-14週齢において、注入実験開始10日前から自動給餌装置使用による濃厚飼料の均等量給与(2時間間隔)を実施し、哺乳期と同様に、安定同位体標識グルコース、尿素の注入実験を各々実施した。【結果】<糖代謝>哺乳期における黒毛和種牛のグルコース代謝回転速度平均値は14.69mg/min・kgで、ホルスタイン種と類似した値を示したが、反芻胃移行期における黒毛和種牛のグルコース代謝回転速度平均値はホルスタイン種よりも高い値を示した。<窒素代謝>哺乳期、反芻胃移行期の黒毛和種牛におけるリサイクル尿素の代謝回転速度はともにホルスタイン種牛より高い値を示した。また、血漿中の尿素態窒素基礎値も同一ステージで比較した場合、黒毛和種牛の方が高値を示した。以上の結果から、糖および窒素代謝に関係するこれらパラメータの違いが発育速度の品種間差異に影響を与えている可能性があると推察される。
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