2003 Fiscal Year Annual Research Report
小動物医療分野における高張食塩液および膠質輸液剤の脳血液循環におよぼす影響
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15780204
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
鈴木 一由 日本大学, 生物資源科学部, 助手 (30339296)
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Keywords | 高張食塩液 / 膠質輸液剤 / イヌ / 頭部創傷患者 / 脳血液循環 / 上矢状静脈 / 顔面静脈 / 磁気共鳴装置 |
Research Abstract |
平成15年度は、7.2%高張食塩液およびデキストラン40注射液の静脈内投与が矢状静脈に及ぼす影響を犬をもちいて検討を行った。その概要は次の通りである。 【背景および目的】7.2%高張食塩液(HSS)およびデキストラン40注射液(D40)は,それぞれ晶質および膠質浸透圧効果により循環血漿量を確保し,脳内水分含量を減少させるため頭部創傷患者への応用が検討されている.本検討では磁気共鳴装置(MRI)を用いて矢状静脈径を指標にHSSおよびD40急速静脈内投与が脳血液循環に及ぼす影響を評価した.【材料と方法】イソフルラン吸入麻酔下健常ビーグル犬6頭に対して,5ml/kgの生理食塩液(ISS),HSSまたはD40を20ml/kg/時で静脈内投与した.投与開始直前(pre)および投与開始後15分間隔で下垂体および小脳辺縁部垂直断面画像を撮影し,矢状静脈断面積および顔面静脈断面積を計測した.また,pre値に対する循環血漿量の変化量(rPV)を算出した.【結果】HSTおよびD40群のrPVは130.1±10.6%(t=15)および133.5±6.7%(t=30)を最高値とする有意な増加が認められ,この増加はHSS群で75分間,D40群で試験終了時点(t=120)まで持続した.HSS群の矢状静脈断面積はt=30分にpre値の1.94±0.09倍まで拡張し,この血管拡張は試験終了時点まで持続した.しかし,ISSおよびD40群において有意な変化は認められなかった.HSSおよびD40群の顔面静脈断面積は,pre値に対してそれぞれ1.60±0.34(t=30)および1.60±0.37(t=75分)倍まで拡張した.HSS群における顔面静脈の拡張が一過性(t=30〜45)であったのに対して,D40群ではt=30から試験終了時点まで持続したため,D40群の顔面静脈断面積はHSSおよびISS群のそれよりも有意に拡張した.【考察】HSSはD40およびISSと比較して有意に矢状静脈断面積を拡張させることが示された.従って,HSSはD40と比較して急激に脳内水分を血管内に移動させるため,頭部損傷動物に対する緊急救命処置として有用であると思われた.なお、現在は脳脊髄液および静脈血液中ナトリウム濃度較差を指標にHSS投与による体液移動時間を検討中である。
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