2003 Fiscal Year Annual Research Report
担子菌類由来のセルロース分解酵素に対する部位特異的変異の導入と触媒機構の解析
Project/Area Number |
15780206
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
五十嵐 圭日子 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (80345181)
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Keywords | セルロース分解 / 木材腐朽菌 / β-グルコシダーゼ / セロビオース脱水素酵素 |
Research Abstract |
白色木材腐朽担子菌Phanerochaete chrysosporiumをセルロースを炭素源とした培地で10日間培養し、その培地からβ-グルコシダーゼをカラムクロマトグラフィーを用いて精製した。得られたタンパク質はSDS-PAGEによって分子量が116kDaであり、さらにクリーブランド法によって分解されたフラグメントのN末端アミノ酸解析から、すでに他株でクローニングが行われた糖加水分解酵素ファミリー3に属するβ-グルコシダーゼであることが明らかになった。本酵素の基質特異性を調べたところ、β-1,4結合を有するセロビオースやセロオリゴ糖ではなく、β-1,3結合を有するグルカンに対する反応性が高かった。さらに本酵素の大量発現系を構築するために培養3日目の菌体からは全RNAを抽出し、RT-PCR法によって本酵素をコードするcDNAのクローニングを行った。得られたcDNA断片を酵母形質転換用のベクターに導入し、メタノール資化性酵母を形質転換した。形質転換されたメタノール資化性酵母による本酵素の生産性はこれまでのP.chrysosporiumによる野生型酵素の生産量の38倍にも達した。生産された酵素の反応性は野生型のそれとほとんど変わらなかったことから、メタノール資化性酵母による本酵素の部位特異的変異の導入が可能となった。これらの成果はJouurnal of Bioscience and Bioengineering第95巻572-576頁およびBioscience, Biotechnology, and Biochemistry第67巻1-7頁に公表された。 本菌由来のセロビオース脱水素酵素に関しては、ヘムの近傍である166番目のフェニルアラニン残基をチロシンに変えた組換え酵素の生産に成功した。この成果に関しては現在投稿準備中である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Igarashi.K., Tani, T., Kawai, R., Samejima, M.: "Family 3 β-glucosidase from cellulose-degrading culture of the white-rot fungus Phanerochaete chrysosporium is a glucan 1,3-β-glucosidase"Journal of Bioscience and Bioengineering. 95. 572-576 (2003)
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[Publications] Kawai, R., Yoshida, M., Tani, T., Igarashi, K., Ohira, T., Nagasawa, N., Samejima, M.: "Production and characterization of recombinant Phanerochaete chrysosporium β-glucosidase in the methylotrophic yeast Pichia pastoris,"Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry. 67. 1-7 (2003)
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[Publications] 鮫島正浩, 五十嵐圭日子: "酸化還元反応が関与する白色木材腐朽菌のセルロース分解機構"化学と生物. 41. 22-26 (2003)
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[Publications] 五十嵐圭日子, 鮫島正浩: "生分解性プラスチックの改質技術と成形加工における課題と対策"技術情報協会. 5 (2003)