2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15780218
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
伊藤 幸博 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 助手 (70280576)
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Keywords | ホメオボックス遺伝子 / 遺伝子発現 / サイトカイニン / 2成分系 / ヒスチジンキナーゼ / 茎頂分裂組織 / 再分化 / イネ |
Research Abstract |
KNOXホメオボックス遺伝子は茎頂分裂組織の形成・維持に重要な役割を果たしており、植物の正常な発生にはその茎頂分裂組織特異的発現が必須である。従って、その発現制御機構を明らかにすることは、植物の発生の仕組みの理解だけでなく、植物の形態の任意の改変に必要な基礎的知見をもたらすと考えられる。 申請者はすでにイネを用いて、カルスからの再分化過程でKNOXホメオボックス遺伝子OSH1がサイトカイニンにより発現誘導されることを見いだした。そこでこの系をKNOXホメオボックス遺伝子の正の発現調節機構解析のモデルとした。本年度はイネのサイトカイニンのシグナル伝達に関わると考えられるヒスチジンキナーゼ遺伝子COS3を同定し、その過剰発現によるOSH1の発現に与える影響を見た。その結果、COS3を過剰発現したカルスではサイトカイニンを与えなくてもOSH1の発現が弱くみられた。ベクターのみを導入したカルスではOSH1の発現はみられなかった。さらにサイトカイニンを与えると、COS3過剰発現カルスではコントロールより高いOSH1の発現がみられた。また、ヒスチジンキナーゼの下流で働く転写制御因子(レスポンスレギュレーター)遺伝子ORR1を過剰発現した場合も、COS3と同様な結果が得られた。以上のことは、これらの遺伝子がOSH1の発現を誘導でき、従って正の制御因子であり得ることを示唆している。現在、COS3、ORR1の機能を抑制した場合のOSH1の発現に与える影響を調べるため、COS3、ORR1のドミナントネガティブ型を過剰発現するカルスを作成中である。 また、OSH1の負の制御機構(葉での発現抑制機構)を調べるため、種々の変異をOSH1に導入し、その形質転換イネを現在作成中である。 来年度以降は得られた形質転換カルスおよび再分化個体を用いて、さらに発現制御機構を調べる予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Y.Ito, A.Chujo, M.Eiguchi, N.Kurata: "The radial axis differentiation in a globular embryo is marked by HAZ1, a PHD-finger homeobox gene of rice."Gene. in press. (2004)
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[Publications] K.Miyoshi, Y.Ito, A.Serizawa, N.Kurata: "OsHAP3 genes regulate chloroplast biogenesis in rice."The Plant Journal. 36. 532-540 (2003)
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[Publications] K.Miyoshi, B.Ahn, T.Kawakatsu, Y.Ito, J.Itoh, Y.Nagato, N.Kurata: "PLASTOCHRON1, a timekeeper of leaf initiation in rice, encodes cytochrome P450."Proceedings of National Academy of Science USA. 101. 875-880 (2003)