2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15780218
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
伊藤 幸博 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 助手 (70280576)
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Keywords | ホメオボックス遺伝 / 遺伝子発現 / サイトカイニン / 2成分系 / ヒスチジンキナーゼ / 茎頂分裂組織 / 再分化 / イネ |
Research Abstract |
KNOXホメオボックス遺伝子は茎頂分裂組織(SAM)の形成・維持に重要な役割を果たしており、植物の正常な発生にはそのSAM特異的発現が必須である。従って、その発現制御機構を明らかにすることは、植物の発生の仕組みの理解だけでなく、植物の形態の任意の改変に必要な基礎的知見をもたらすと考えられる。 申請者は昨年度までに、イネのカルスからの再分化過程でKNOXホメオボックス遺伝子OSH1がサイトカイニンにより発現誘導されることを見いだした。本年度はサイトカイニンのシグナル伝達に関わると考えられるイネのヒスチジンキナーゼ遺伝子、フォスフォトランスミッター遺伝子、レスポンスレギュレーター遺伝子の過剰発現がOSH1の発現に与える影響を調べた。その結果、これらの遺伝子を過剰発現したカルスではサイトカイニンを与えなくてもOSH1の発現が見られ、さらにサイトカイニンを与えるとコントロールより高いOSH1の発現がみられた。以上のことは、サイトカイニンシグナル伝達遺伝子がOSH1の正の制御因子であることを示唆している。現在、これらの遺伝子の恒常的活性型やドミナントネガティブ型を過剰発現するカルスでのOSH1の発現を調べている。 また、OSH1の負の制御機構(葉での発現抑制機構)を調べるため、種々の変異をOSH1に導入し、その形質転換イネを作成した。その結果、プロモーターを持たないOSH1のcDNAを導入すると、OSH1過剰発現体と同様な葉の形態異常を示し、そのような葉では導入したOSH1と内在のOSH1の両方が発現していることがわかった。また、プロモーター領域(約2.2kb)だけではSAM特異的な発現を示さなかった。従って、プロモータ領域だけでなく、コード領域もOSH1の発現を調節していると考えられた。
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Research Products
(5 results)