2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15780218
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
伊藤 幸博 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 助手 (70280576)
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Keywords | ホメオボックス遺伝 / 遺伝子発現 / サイトカイニン / 2成分系 / ヒスチジンキナーゼ / 茎頂分裂組織 / 再分化 / イネ |
Research Abstract |
KNOXホメオボックス遺伝子は茎頂分裂組織(SAM)の形成・維持に重要な役割を果たしており、植物の正常な発生にはそのSAM特異的発現が必須である。従って、その発現制御機構を明らかにすることは、植物の発生の仕組みの理解だけでなく、植物の形態の任意の改変に必要な基礎的知見をもたらすと考えられる。 私は昨年度までに、イネのカルスからの再分化過程でKNOXホメオボックス遺伝子OSH1がサイトカイニンにより発現誘導され、その発現誘導がサイトカイニンのシグナル伝達遺伝子(ヒスチジンキナーゼ遺伝子、フォスフォトランスミッター遺伝子、レスポンスレギュレーター遺伝子)の過剰発現により増強されることを見出した。本年度はヒスチジンキナーゼ遺伝子のドミナントネガティブの発現によりサイトカイニンによるOSH1の発現誘導が弱められることを示した。さらに、これらのサイトカイニンシグナル伝達因子が物理的に相互作用すること、およびシュート再分化中のカルスでこれらの遺伝子とOSH1が同一の細胞で発現することを明らかにした。以上のことは、シュート再分化中のカルスでは、これらの遺伝子の働きを介してサイトカイニンによりOSH1の発現が誘導されることを示している。 また、OSH1の負の制御機構(葉での発現抑制機構)に関しては、昨年度までに明らかにした、プロモーターが葉でも活性があること、および、OSH1 cDNAを導入するとそのcDNAも内在のOSH1も葉で発現することから、「OSH1は本来葉で発現活性を持っているがリプレッサーにより抑制されている。cDNA導入イネではcDNAも発現活性があるためOSH1の総発現活性が上昇し、リプレッサーが抑制しきれずに葉で発現した。」というOSH1の葉での発現抑制モデルを提唱した。
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Research Products
(3 results)