2003 Fiscal Year Annual Research Report
構造に混乱があるキナマイシン系抗生物質の合成的証明
Project/Area Number |
15790003
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
熊本 卓哉 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 助手 (50292678)
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Keywords | キナマイシン類 / 抗生物質 / 立体選択的 / ジアゾ化合物 / Diels-Alder反応 |
Research Abstract |
研究計画に基づき、全合成の重要な中間体であるbenz〔f〕indenone(計画調書上化合物番号22.以下同様)を大量に合成し,Diels-Alder反応に処した.得られたDiels-Alder付加体(同7)に対して脱シリル化,および各種酸化反応を行い,テトラシロキシ体(同23,R=TMS)を得た.ついで,このものの3位ケトンに対する立体選択的遠元反序を検討した.4位水酸基とのキレーション効果を期待し,還元剤としてZn(BH_4)_2を用いたところ、所望とは逆のα-ヒドロキシ体を選択的に得た.相対配置はX線結晶構造解析により決定した.さらにテトラシロキシ体を脱保護して得られたテトラオール(同23,R=H)についても同様の検討を行ったが,先と同様、α-ヒドロキシ体を選択的に得る結果となった.一方、1位水酸基の持つキレーション効果を期待し,還元剤としてMe_4NBH(OAc)_3を用いて検討したところ,立体選択的に目的とするβ-ヒドロキシ体を得ることに成功し,kinamycin類D環上の連続する4つの不斉炭素の立体制御を達成した.次に得られたペンタールに対し,位置選択的な水酸基の保護を試みた.汎用されるTBS基やケタールを用いた場合、5つの水酸基のうち3カ所,もしくは4カ所保護されたものの混合物を与えた.唯一アセチル化の場合にのみ1,3,4位でアセチル化されたトリアセトキシジオール体を65%の収率で選択的に得た.このものの残った水酸基に対してキサンテートを導入後、熱条件下でのChugaev反応により、脱水体を得ることに成功した. 一方,不斉全合成へのアプローチとして,A環を持たないインデノン体とDanishefsky型ジエンとの不斉Diels-Alder反応を検討した.不斉補助剤としてキラルシフト試薬Eu(hfc)_3を用いた場合,22%eeで相当するDiels-Alder付加体を得,今後の足がかりとなる結果を得た.
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Research Products
(1 results)