2004 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内小胞輸送阻害作用を有する海洋天然物ilimaquinoneの合成研究
Project/Area Number |
15790017
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
見留 英路 東京薬科大学, 薬学部, 助手 (00266892)
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Keywords | ilimaquinone / 細胞内小胞輸送 / 海洋天然物 / セスキテルペノイドキノン / 合成研究 |
Research Abstract |
I;imaquinoneは,ハワイ産の海綿Hippiospongia metachromiaより単離されたセスキテルペノイドキノンであり,細胞内小胞輸送のメカニズム解明のための強力なプローブとして注目されている。 申請者は,ilimaquinoneのセスキテルペン骨格部分の構造と活性の相関に注目し,さらに有用な機能性分子を見いだすことを目的に,ilimaquinoneおよびダイバーシティーに富んだ誘導体の効果的な合成法の開発を行っている。申請者は,ilimaquinoneのキノン部およびセスキテルペン部を自由に変換可能にするため,それぞれを別途合成した後カップリングさせるコンバージェントな合成計画を立案し,昨年度は5-(tert-ブチルジフェニルシロキシメチル)-3-メトキシシクロヘキサ-2-エンを出発物質としてセスキテルペン部の合成を達成した。本年度は,そのセスキテルペン部の合成法を改良し,より効率的な合成法を開発した。 出発物質として3,5-ジメトキシ-4-メチル安息香酸を用い,5-(tert-ブチルジフェニルシロキシメチル)-3-メトキシ-2-メチルシクロヘキサ-2-エンへと誘導後,C-9位(以後の炭素番号はilimaquinoneのものに従う)にメチル基およびヒドロキシメチル基を立体選択的に導入し,水酸基をベンジルオキシメチルエーテルとして保護した後,C-13位シロキシメチル基のメチル基への変換を行った。次いで,C-10位へのビニル基の導入に続くエノールエーテルの加水分解によりジエン部を構築した後,ケトンの立体選択的な還元を行い,分子内Diels-Alder反応による立体選択的なデカリン部の構築,C-6位酸素官能基の除去,デカリン核間の二重結合の立体選択的な還元,C-4(11)位二重結合の導入,C-15位へのヨウ素の導入によりセスキテルペン部の合成を達成した。
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