2003 Fiscal Year Annual Research Report
プロトン・電子2重共鳴法を用いた14N,15N標識スピンプローブの生体内分離画像解析
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15790029
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山田 健一 九州大学, 大学院・薬学研究院, 助手 (60346806)
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Keywords | プロトン・電子スピン二重共鳴 / スピンプローブ / フリーラジカル / 酸化ストレス性疾患 |
Research Abstract |
本研究は、生体内の異なる部位での機能の違いを如何に画像解析できるかに注目し研究を計画した。生体内で細胞レベルの機能の違いを画像化するには、現段階では解像度の関係上困難であり、造影剤を用いた手法が採られている。このとき、性質の異なる造影剤を使用することで、結果として反映する最終的な画像の持つ意味は全く違ってくる。そこで、性質の異なる造影剤として14N、または15Nで標識したスピンプローブを合成し、さらに性質の異なる造影剤の同時分離画像解析を擬似試料を用いて行った。 合成手法は、これまで報告されているいくつかの行程を組み合わせて行った。その結果、最終産物として^<15>N-carboxy-PROXYL、^<15>N-carbamoyl-PROXYLおよびその14N体の合成に成功した。それぞれの14N、15N体は電子スピン共鳴法にて確認したところ、スペクトル数が2、3本であること、また組織移行性の指標であるn-オクタノール/水分配係数がcarboxy-PROXYL、carbamoyl-PROXYLでそれぞれ0.61、0.0099であることがわかった。 合成した^<15>N-carbamoyl-PROXYLと、^<14>N-carbamoyl-PROXYLを用いてファントムを作製し画像化を行った結果、双方共に低磁場側の共鳴磁場でESR照射をした場合に最も高い輝度が得られた。そこで最大輝度が得られた低磁場側を^<14>N-carbamoyl-PROXYL(6.081mT)、^<15>N-carbamoyl-PROXYL(6.565mT)の共鳴磁場とし、プロトン電子二重共鳴装置を用いて同時分離画像化を行った。同時分離画像化手法は、Field Cycle法を応用し、14N、15Nスピンプローブの電子スピン共鳴磁場を交互に叩くことによって行った。その結果、両方のニトロキシルラジカル共に存在位置や大きさ、濃度を良く反映した画像が得られた(国際学会にて発表済み)。以上よりfield-cycle法を応用することで2種類の異なるスピンプローブを同時分離画像化できることが示された。
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[Publications] Utsumi, H., Yamada, K.: "In vivo electron spin resonance-computed tomography/nitroxyl probe technique for non-invasive analysis of oxidative injuries"Arch Biochem Biophys. 416・1. 1-8 (2003)
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[Publications] Yonekura, Y., Koshiishi, I., Yamada, K., Mori, A., Uchida, S., Nakamura, T., Utsumi, H.: "Association between the expression of inducible nitric oxide synthase by chondrocytes and its nitric oxide-generating activity in adjuvant arthritis in rats"Nitric Oxide. 8・3. 164-169 (2003)
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[Publications] Kasazaki, K., Yasukawa, K., Sano, H., Yamada, K., Utsumi, H.: "Application of in vivo ESR spectroscopy to pharmaceutical sciences : Evaluation of in vivo inhibitory mechanism of antigastric lesion drugs"Appl Magn Reson. 23・3-4. 585-595 (2003)
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[Publications] Yamada, K., Inoue, D., Matsumoto, S., Utsumi, H: "In vivo measurement of redox status in streptozotocin-induced diabetic rat using targeted nitroxyl probes."Antioxid Redox Signal. (in press). (2004)