2003 Fiscal Year Annual Research Report
アポトーシス実行に関わるアポトソーム系制御因子の同定
Project/Area Number |
15790057
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Research Institution | Japanese Foundation For Cancer Research |
Principal Investigator |
馬島 哲夫 財団法人癌研究会, 癌化学療法センター・基礎研究部, 研究員 (30311228)
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Keywords | アポトーシス / アポトソーム / Apaf-1 |
Research Abstract |
自発的細胞死であるアポトーシスは細胞増殖の負の調節に重要な役割を果たす。アポトーシスのシグナル伝達の中心過程では、ミトコンドリアから遊離されたチトクロムCがApaf-1に結合し高分子複合体アポトソームを形成し、下流のカスパーゼを活性化する。申請者の施設は39種類の独自のヒト固形癌細胞株を有し、その40%でアポトソーム活性が低下し薬剤耐性に関与することを見出している。本研究ではこれらのヒト難治固形癌由来アポトソーム阻害因子の同定をを行う。本年度は以下の成果および研究の進展を得た。(1)アポトソーム低下癌について、各種シグナル阻害剤の作用を検討した。その結果、ヒト肺癌H460など3細胞株で、アポトソーム低下がIAP(inhibitor of apoptosis protein)の阻害ペプチドsmac-N7によりリバースすることが分かった。また、IAPファミリーのうち、XIAPの発現亢進が、H460およびヒト非小細胞肺がんの臨床サンプルにおいて認められた。さらに細胞透過型IAP阻害ペプチドsmac-N7r8は、H460細胞の抗癌剤感受性を増強した。これらよりIAPの発現亢進によるアポトソーム低下がヒト非小細胞肺がんの薬剤抵抗性に関わることを示した。(2)アポトソーム低下癌のうち、IAPの関与しない細胞群について、DNAマイクロアレイ解析(約10000遺伝子を対象)および抗体アレイ解析(シグナル伝達に関わる400蛋白質を対象)により、アポトソーム低下癌に選択的発現亢進の認められる遺伝子および、カスパーゼ9結合候補蛋白質を抽出した。今後、cDNA導入などの機能解析によって得られた因子がアポトソーム阻害活性をもつかの検証を行い、その分子機構を明らかにする。これと平行して、完全長cDNA発現ライブラリーを用いた発現クローニングによる因子同定も試みていく。
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[Publications] Yang, L.: "Predominant suppression of apoptosome by IAP in non-small cell lung cancer H460 Cells : therapeutic effect of a novel polyarginine-conjugated Smac peptide."Cancer Res.. 63. 831-837 (2003)
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[Publications] Tsuruo, T.: "Molecular targeting therapy of cancer : drug resistance, apoptosis and survival signal."Cancer Sci.. 94. 15-21 (2003)