2004 Fiscal Year Annual Research Report
プロテアソーム阻害物質チロペプチン類縁体による細胞内蛋白質の変動と生物活性
Project/Area Number |
15790059
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Research Institution | Microbial Chemistry Research Foundation |
Principal Investigator |
百瀬 功 (財)微生物化学研究会, 微生物化学研究センター・沼津創薬医科学研究所, ユニット長 (10270547)
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Keywords | プロテアソーム / プロテアソーム阻害物質 / チロペプチン |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、新規プロテアソーム阻害物質チロペプチンの合成類縁体TP-110の癌細胞に与える影響について調べた。 1)ヒト前立腺癌PC-3細胞に対する影響;PC-3細胞はTP-110によりアポトーシスを誘導することが明らかとなっている。そこでアポトーシス関連分子の挙動についてイムノプロット法により調べた。アポトーシス抑制蛋白質であるBcl-2は減少し、アポトーシス誘導蛋白質であるBaxは増加し、ミトコンドリから細胞質へのチトクロームcの放出の増大が認められた。またCaspase3のインビターであるXIAPは減少し、caspase3によるPARPの分解亢進が認められた。2)ヒト前立腺癌の遺伝子発現に対する影響;PC-3、DU-145およびLNCaP細胞(いずれもヒト前立腺癌細胞)の約16,000の遺伝子発現に対するTP-110の影響をDNAチップを用いて調べた。TP-110処理によりいずれかの細胞に1.5倍以上発現変動した遺伝子は3,782個であった。そのうち3細胞とも共通してTP-110により発現増加している遺伝子は312個あり、また3細胞とも発現低下している遺伝子は511個あった。3)薬物動態およびin vivoでの制癌作用;マウスに対するTP-110の急性毒性は単回腹腔内投与で75mg/kg(LD_<50>)であった。1mgのTP-110をマウス腹腔内に投与すると、血中濃度は投与2時間後まで増加し最大値150g/mlに達し、その後減少した。次ぎにSCIDマウスの皮下にPC-3細胞を移植しTP-110による治療実験を行ったところ、TP-110(10mg/kg)の週2回腹腔内投与により有意に腫瘍の増殖を抑制した。4)耐性株の樹立;現在TP-110に有効な癌を見出すための基礎実験として、TP-110に対する耐性細胞を作製している。
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