2003 Fiscal Year Annual Research Report
ヌクレオシドトランスポーターと抗腫瘍性ヌクレオシドに対する感受性との関連性
Project/Area Number |
15790071
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小幡 徹 金沢大学, がん研究所, 助手 (20324080)
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Keywords | ヌクレオシドトランスポーター / 抗腫瘍性ヌクレオシド / 薬剤感受性 |
Research Abstract |
抗腫瘍性ヌクレオシドはヌクレオシドトランスポーター(NT)によって細胞内に輸送される。本研究では、薬剤感受性とNT機能の関連性を検討することを目的としている。 NTは現在までに7種(ENT1〜4,CNT1〜3)がクローニングされている。これらのNT遺伝子についてRT-PCR法により各種ヒトがん細胞のmRNA発現量を比較検討した。胃がん、大腸がん、肺がん等の培養がん細胞ではENT1〜3は恒常的に発現が観察されたが、ENT4は特に大腸がん細胞株で高頻度に発現が観察された。しかし、ヒト胃がん細胞株TMK-1はENT4の発現は認められたが、ENT1やENT2の発現は認められなかった。つまり、これまで十分な解析が行われていないENT3、4がヌクレオシドの輸送に重要な役割を担っている可能性が考えられた。 また、8種類のヒトがん細胞を用い、抗腫瘍性ヌクレオシドの薬剤感受性と薬剤輸送量を検討した結果、NTのmRNAの発現量とヌクレオシドの細胞内輸送量に関連性は認められなかった。しかしながら、NTの阻害剤を用いて細胞内輸送量を制限すると、薬剤感受性が低下し、細胞内輸送量と薬剤感受性との間に明らかな関連性が認められた。 本年度ENT1〜4のcDNAをクローニングし、各種哺乳動物発現ベクターに組み込み、発現ベクターを構築する事が出来た.ENT1のC末端にGFPを結合させた融合タンパクの発現ベクターをHT-1080細胞に遺伝子導入し、共焦点レーザー顕微鏡で観察した結果、細胞膜への局在が確認出来た。現在、導入遺伝子の安定発現株の樹立を試みている。また、構築した数種のベクターの内、GFP発現ベクター以外のベクターについてはNTの細胞内での発現を検討中である。さらに最近ENT1がミトコンドリアの膜に発現するという報告がなされたので、ミトコンドリアへの局在に注意しながら各ベクターによるタンパクの発現の局在を確認していく予定である。
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