2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15790073
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
宇井 英明 北里大学, 薬学部, 助手 (90290957)
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Keywords | HIV / AIDS / 接着侵入 / 阻害剤 / 合胞体形成 |
Research Abstract |
現在エイズ治療の臨床で用いられている薬剤は、患者に対する負担が非常に大きいことや、薬剤耐性ウイルスの出現・増加などの問題点から、新たな抗エイズ薬の開発が望まれている。本研究では新たな作用機作を持つ抗HIV薬の創製を目指し、特にウイルスの細胞への接着侵入に着目して阻害物質の探索を行った。探索には安全かつ大量にサンプルを処理できる独自のモデル検定系を用いた。すなわち、HIVの外套タンパク質であるEnvを発現した細胞と、HIV受容体(CD4とケモカイン受容体)を発現した細胞を共培養することで合胞体を形成させてウイルスの接着侵入を擬態したものであり、これを阻害する物質を探索することで目的とする化合物を得ることができると考えた。この検定系により、微生物の二次代謝産物を中心とした天然資源より接着侵入阻害物質を探索した結果、選択された一放線菌の培養液に接着侵入阻害活性を見出し、溶媒抽出、シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどにより活性物質を単離した。引き続きNMR、マスなどの各種スペクトルを解析した結果、既知化合物であることを確認したが、その抗HIV活性は初めての知見であった。来年度の当該研究においては本化合物の作用点を確認する予定であるが、報告されている生物活性は既存の抗HIV薬とは明らかに異なり、その作用点が新たな抗HIV薬探索のターゲットとなりうる可能性もあり、また未だ解明されていないHIVの接着侵入の詳細なメカニズムに関する知見が得られることも期待される。
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