2003 Fiscal Year Annual Research Report
有機アニオン輸送体発現系を利用した医薬品の胆汁排泄、黄疸誘発性の種差評価系の確立
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15790085
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
伊藤 晃成 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 助手 (30323405)
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Keywords | Mrp2 / 胆汁排泄 / 種差 / 黄疸 |
Research Abstract |
医薬品開発途中段階での毒性予測、機構解明には、毒性標的蛋白分子の固有活性、阻害性の種差に関する情報は有用である。医薬品開発過程での毒性評価はしばしばイヌやサルなどの大動物においても行われるが、ラットやマウスなどの小動物と比較してその遺伝子情報および遺伝子産物の機能に関する情報も十分ではない。毒性ターゲットとなりうる蛋白分子の機能解析は実験動物においてもなされるべきであり、これにより毒性発現の分子機構解明が加速されるはずである。また毒性ターゲット分子が既知の場合、動物実験に代替してヒト或いは動物の遺伝子を用いたin vitro発現系の利用が可能である。 実験動物の中でも中型のイヌにおけるMrp2の機能発現系の作製と評価を行った。ビーグル犬よりクローニングしたMrp2は、報告されている配列と比較して数カ所のSNPsを有していた。この遺伝子産物の機能をバキュロウィルス発現系で測定した。イヌMrp2はこれまで知られているラット、ウサギ、マウス、ヒトMrp2同様に有機アニオン性化合物の輸送活性を有することが示され、蛋白一分子当たりのグルタチオン抱合体の輸送活性、すなわち固有輸送活性はラットと同程度であった。標準抗原を用いたWestern解析より、イヌとラットの肝臓におけるMrp2蛋白発現量は1:10と見積もられた。イヌはラットに比較してグルタチオン抱合体の胆汁排泄が約10分の1であることが過去に報告されているが、今回の結果はこの胆汁排泄の差がMrp2蛋白発現量の違いで説明可能であることを示している。一方、イヌMrp2によるグルクロン酸抱合体の固有輸送活性は、ラットの約10分の1と大きな種差が見られた。輸送阻害実験においてもイヌとラットではグルクロン酸抱合体による阻害親和性に違いが見られ、イヌMrp2はグルクロン酸抱合体に対し低親和性であることが示された。 以上の結果は日本薬物動態学会第18年会において報告済みである。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Ito, K., T.Horie, H.Suzuki, Y.Sugiyama: "Polarized expression of drug transporters and its physiological significance"Tanpakushitsu Kakusan Koso. 48. 122-132 (2003)
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[Publications] Li, T., T.Tomimatsu, K.Ito, T.Horie.: "Fluorescein-methotrexate transport in brush border membrane vesicles from rat small intestine"Life Sci. 73. 2631-2639 (2003)
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[Publications] Li, T., K.Ito, T.Horie.: "Transport of fluorescein methotrexate by multidrug resistance-associated protein 3 in IEC-6 cells"Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol. 285. G602-G610 (2003)
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[Publications] Ji, B., K.Ito, T.Horie.: "Multidrug Resistance-Associated Protein 2 (MRP2) Enhances 4-Hydroxynonenal-Induced Toxicity in Madin-Darby Canine Kidney II Cells"Chem Res Toxicol. 17. 158-164 (2004)
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[Publications] Ikegami, N.Tanaka, H.Akita, K.Ito, H.Suzuki, Y.Sugiyama: "Genipin enhances Mrp2 (Abcc2)-mediated bile formation and organic anion transport in rat liver"Hepatology. 39. 167-178 (2004)
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[Publications] Ito, K., T.Koresawa, K.Nakano, T.Horie: "Mrp2 is involved in benzylpenicillin-induced choleresis"Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol. (In press). (2004)