2005 Fiscal Year Annual Research Report
関節軟骨疾患をターゲットとした細胞周期調節因子p21遺伝子による軟骨再生の試み
Project/Area Number |
15790101
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
根岸 洋一 東京薬科大学, 薬学部, 講師 (50286978)
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Keywords | 軟骨細胞分化 / p21 / 遺伝子導入 |
Research Abstract |
1)p21遺伝子発現による抗炎症または軟骨破壊抑制作用の確認 16年度の研究においてテトラサイクリンプロモーターの発現制御下でp21遺伝子の高発現がコントロールできる未分化軟骨細胞株の樹立に成功している。そこで17年度では、この樹立した細胞株を軟骨分化させた状態で、p21を過剰発現させた系における軟骨基質の破壊に関与する炎症性サイトカイン(IL-1beta)の影響について調べた。RT-PCRの結果から、p21を過剰発現させていない状態では、IL-1betaの添加により軟骨分化マーカー(タイプIIコラーゲン、アグレカン)の顕著な発現抑制が認められたのに対し、p21を高発現した場合では、それらの分化マーカーの発現が維持される傾向が示された。 2).p21遺伝子発現ベクターの一過性の遺伝子導入 p21遺伝子発現による抗炎症または、軟骨破壊抑制傾向が確認されたことから、関節軟骨の初代培養系においても同様の結果が得られるか否かについて検討した。ラット関節軟骨の初代培養細胞にリポフェクションによって一過性にp21遺伝子発現ベクターの導入を行った後にIL-1betaを作用させた。その結果、遺伝子導入の有無にかかわらず、軟骨分化マーカーの発現レベルが低下した。これは、十分なプラスミドDNAが細胞内へと導入されなかったためにp21による軟骨破壊の抑制効果が認められなかったものと考えられる。 以上、本研究からin vitro系ではあるが、p21遺伝子発現が軟骨分化の維持に重要であることが示され、今後の関節疾患の遺伝子治療を考える上で有益な情報を与えるものと考えられる。
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