2003 Fiscal Year Annual Research Report
好酸球リン脂質代謝・脱顆粒におけるホスホリパーゼファミリーの機能解析
Project/Area Number |
15790116
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
佐野 安希子 鳥取大学, 医学部, 助手 (80335512)
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Keywords | ヒト好酸球 / リン脂質代謝 / ホスホリパーゼC / 細胞質型ホスホリパーゼA_2 / MAPKファミリー / アラキドン酸代謝 / 脱顆粒 / D609 |
Research Abstract |
ヒト好酸球のリン脂質代謝におけるPC-PLC(ホスファチジルイノシトール特異的ホスホリパーゼC)とcPLA_2(細胞質型ホスホリパーゼA_2)/アラキドン酸代謝系の関係について、PC-PLC特異的阻害剤のD609を用いて検討した。 1.PC-PLC活性とMAPK(mitogen-activated protein kinase)ファミリー及びcPLA_2活性の評価 FMLP刺激によるERK1/2、P38MAPKリン酸化は1〜5分でピークとなり、それは10μMのD609によって阻害された。同様にcPLA_2 activityとリン酸化は刺激後2分でピークを示し、10μMのD609によって阻害されることがわかった。 2.PC-PLCのアラキドン酸代謝への影響の評価 アラキドン酸産生は30分でプラトーに達し、D609によって濃度依存性に有意に抑制された。ロイコトリエンC_4産生についても同様に抑制効果がみられた。 3.PC-PLCによる好酸球脱顆粒の調節 D609は、EPO(eosinophil peroxidase)を濃度依存性に著明に抑制した。 以上よりPC-PLCにはERK1/2及びP38MAPKリン酸化を介してcPLA_2活性を調節し、アラキドン酸産生に寄与する働きがあると考えられた。注目すべきことは、cPLA_2のリン酸化を誘導せずにCa^<2+>influxの調節によってcPLA_2の膜への移行に寄与していたPI-PLC(ホスファチジルイノシトール特異的PLC)とは異なり、PC-PLCはMAPKを介してcPLA_2をリン酸化しているということであり、おそらく一方で細胞膜のCa^<2+>チャネルからCa^<2+>流入を惹起してアラキドン酸代謝に影響を及ぼしているのではないかと予想される点である。 今後は、PC-PLCが細胞内Ca^<2+>濃度や細胞膜Ca^<2+>チャネル調節に与える影響についてさらに詳しく検討していく予定である。
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Research Products
(1 results)