2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15790123
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
清水 貴浩 生理学研究所, 細胞器官研究系, 助手 (40353437)
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Keywords | アニオンチャネル / アポトーシス / セラミド / チロシンキナーゼ |
Research Abstract |
細胞容積調節能は、細胞にとって必要不可欠な機能の1つであり、細胞増殖、分化、細胞死といった様々な生理的、病理的過程に関与していることが分かってきた。昨年度から本年度にかけて、我々はミトコンドリア系およびデスレセプター系アポトーシス誘導剤の投与により、通常は細胞膨張後に活性化する容積感受性Cl^-チャネルが、細胞膨張がないにもかかわらず異常活性化することを明らかにした(清水ら、PNAS.2004)。ミトコンドリア刺激時の活性化シグナルは活性酸素種であったが、デスレセプター刺激時のシグナルは未知である。まず、これまでの予備実験によりセラミドもこのアニオンチャネルの異常活性化を引き起こすことが分かっていたので、デスレセプター刺激時に細胞内セラミドの産生が生じるかどうかについて、薄層クロマトグラフィーを用いて検討したが、思わしい結果が得られなかった。そこで、セラミドが実際に細胞死を生じるかについて検討したところ、セラミドによる細胞生存率の低下、DNA断片化が観測されたことから、セラミドもアポトーシスのシグナル経路である可能性がある。また様々なキナーゼがアポトージスに関与していることが知られていることから、この可能性についてもアポトーシス性細胞容積減少(AVD)を指標にして検討した。薬理学的検討の結果、チロシンキナーゼ阻害剤処理によりAVDが抑制されたことから、チロシンキナーゼ阻害剤が関与している可能性も出てきた。現在これらシグナル候補は得られたが、実際にどのように関与しているかについては明らかでない。更なる検討が必要である。
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