2004 Fiscal Year Annual Research Report
小脳興奮性シナプスの発達期可塑性におけるカルシニューリンの役割
Project/Area Number |
15790130
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柿澤 昌 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (40291059)
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Keywords | カルシニューリン / シナプス / 発達 / 小脳 / 登上線維 / 可塑性 / 遺伝子導入 / ウィルス |
Research Abstract |
昨年度は、内因性カルシニューリン阻害薬の慢性投与により、カルシニューリンの小脳登上線維-プルキンエ細胞シナプスの発達・除去への関与を示唆する結果を得た。引き続き、今年度は、時期・部位特異的にカルシニューリンの作用を阻害し、登上線維シナプス発達・除去への影響を調べることを試みた。このため、様々なウィルスベクターを用いて、外因性遺伝子を小脳プルキンエ細胞あるいは登上線維に導入する系の立ち上げを行った。先ず、小脳皮質に蛍光蛋白の一種、GFP遺伝子を持ったウィル液を微小ガラス管を用いて注入し、1日-1ヶ月後に小脳スライス標本を作製し、GFPを発現しているプルキンエ細胞に対して、形態学的・電気生理的解析を行った。その結果、Sindbisウィルスを用いてGFP遺伝子を導入した場合、ウィルス液注入後、24時間以内に、高レベルの発現が見られた。しかし、24時間を過ぎると、プルキンエ細胞に形態学的異常が認められた。これは、ウィルス毒性によるものと思われ、Sindbisウィルスによる遺伝子導入により、数日間以上にわたるシナプス発達・除去への影響を調べることは、困難であることが示された。一方、Lentiウィルスを用いると、ウィルス液注入後、4-7日でGFPの発現が見られる。そして、注入後1ヶ月を過ぎても、外因性遺伝子を導入されたニューロンに、形態的・機能的異常は認められなかった。現在、さらに条件の最適化を行っているところである。また、内因性カルシニューリン阻害薬により、小脳プルキンエ細胞に入力する興奮性線維の基本的な電気生理学的性質には影響が見られなかったが、ある種のシナプス可塑性に対する影響を調べたところ、阻害効果が確認された。
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Research Products
(2 results)