2003 Fiscal Year Annual Research Report
内耳機能における内向き整流K^+チャネルの分子生物学的・生理学的解析
Project/Area Number |
15790134
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
日比野 浩 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70314317)
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Keywords | 内向き整流K^+チャネル / 内耳蝸牛 / 内耳高電位 / K^+循環 / 螺旋靭帯 / 線維芽細胞 |
Research Abstract |
聴覚は人や動物にとって不可欠な感覚機能である。音情報を受容するため高度に分化した器官が内耳蝸牛である。蝸牛は内リンパ液という特殊な液体で満たされている。それは細胞外液であるにも関わらず、約150mMのK^+イオンを含んでおり、電位は約+80mVと非常に高い(内耳高電位)。内リンパ液には、聴覚一次受容器である有毛細胞の感覚毛が触れている。音刺激により内リンパ液のK^+イオンは有毛細胞へ流入し、細胞を興奮させるが、内耳高電位はK^+イオン流入のdriving forceを増大し、音に対する高感受性を形成している。よって、内耳高電位は、聴覚機能にとって必須である。以前より内リンパ液の高K^+・高電位の成立には、蝸牛側壁の、螺旋靭帯と呼ばれる線維芽細胞群や血管状と呼ばれる上皮細胞群に分布する、K^+チャネルを介したK^+イオン動態が深く関わっているとされてきた。しかし、そのK^+チャネルの具体的な役割や分子実体は、未だ大部分が不明である。本研究では、そのK^+チャネルの分子レベルでの同定と生理的機能の解析を目的にしている。我々は以前に、内向き整流K^+チャネルであるKir4.1が血管状に発現し、側壁を介したK^+イオンの循環を促進させ、高電位の成立に重要な役割を果たしていることを報告した。今回、別の内向き整流K^+チャネルKir5.1が、螺旋靱帯の特殊な線維芽細胞に特異的に分布していることを明らかにし、K+イオンの循環を負に制御している可能性を見出した。よって、内耳蝸牛のK^+イオンの循環は、Kir4.1、Kir5.1という異なった2つのチャネルによって、精密に制御されており、それにより内リンパ液の高K^+・高電位が恒常的に保たれていると推察することができた。今後さらに、ノックアウト動物等を作成することにより、Kir5.1の内耳における機能を詳細に検討していく予定にしている。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Hibino, H.et al.: "Expression of an inwardly rectifying K^+ channel, Kir5.1, in specific types of fibrocytes in the cochlear lateral wall suggests its functional importance in the establishment of endocochlear potential."European Journal of Neuroscience. 19・1. 76-84 (2004)
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[Publications] Lesage, F.et al.: "Association of β-catenin with the α subunit of neuronal large-conductance Ca^<2+>-activated K^+ channels."The Proceeding of National Academy of Science U.S.A.. 101・2. 671-675 (2004)
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[Publications] Keresztes, G.et al.: "Analysis of expression of the RGS9-1 anchoring protein R9AP in the chicken and mouse suggests multiple roles in the nervous system."Molecular and Cellular Neuroscience. 24・3. 687-695 (2003)
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[Publications] Ishii, M.et al.: "Differential expression and distribution of Kir5.1 and Kir4.1 inwardly rectifying K^+ channels in retina."American Journal of Physiology ; Cell Physiology. 285・2. C260-C267 (2003)
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[Publications] Hibino, H.et al.: "Direct interaction with a nuclear protein and regulation of gene silencing by a variant of the Ca^<2+>-channel β_4 subunit."The Proceeding of National Academy of Science U.S.A.. 100・1. 307-312 (2003)