2003 Fiscal Year Annual Research Report
平滑筋におけるβ_3-アドレナリン受容体の薬理学的特徴と新しい抑制性調節機構の解明
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15790139
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
堀之内 孝広 東邦大学, 薬学部, 助手 (20307771)
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Keywords | β_3-アドレナリン受容体 / β-アドレナリン受容体サブタイプ / 血管平滑筋 / 消化管平滑筋 / 弛緩反応 / ブプラノロール / CGP12177A / mRNA |
Research Abstract |
血管及び消化管平滑筋におけるβ-アドレナリン受容体(β-AR)を介した弛緩反応の解析ならびにRT-PCR法を用いたβ-ARサブタイプのmRNA発現の確認を行い、次の知見を得た。 1.血管平滑筋(ラット腹部大動脈)に関する研究 (1)非選択的β-AR活性薬(イソプレナリン)及び選択的β_3-AR活性薬(CGP12177A)によって、濃度依存的な弛緩反応が生じた。 (2)これらの弛緩反応は、選択的β_1-AR拮抗薬及び選択的β_2-AR拮抗薬の影響を受けなかった。 (3)しかしながら、β_1-、β_2-AR拮抗薬存在下、イソプレナリンならびにCGP12177Aによる弛緩反応は、高濃度(μM)のブプラノロール(非選択的β_1-、β_2-、β_3-AR拮抗薬)により競合的に拮抗された。 (4)RT-PCB法により、β_3-ARのmRNA発現が認められた。 以上の結果より、β-ARを介した血管平滑筋の弛緩反応に、β_3-ARが関与していることが示唆された。 2.消化管平滑筋(モルモット食道・胃底・十二指腸・回腸・盲腸紐)に関する研究 (1)β_1-、β_2-AR拮抗薬存在下、胃底・十二指腸・回腸・盲腸紐において、イソプレナリンならびにCGP12177Aによる弛緩反応は、高濃度(μM)のブプラノロールにより競合的に拮抗された。 (2)イソプレナリンによる食道の弛緩反応は、プロプラノロール(非選択的β_1-、β_2-AR拮抗薬)及び選択的β_1-AR拮抗薬により競合的に拮抗された。 (3)食道において、CGP12177Aは、弛緩反応を示さなかった。 (4)β_3-ARのmRNAは、胃底・十二指腸・回腸・盲腸紐において検出されたが、食道では検出されなかった。 以上の結果より、β_3-ARは、胃底・十二指腸・回腸・盲腸紐の弛緩反応に関与していることが示された。一方、食道では、β-ARを介した弛緩反応にβ_3-ARは関与せず、β_1-ARのみが、その弛緩反応に関与していると考えられた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Matsushita, M., Horinouchi, T., Tanaka, Y., Tsuru, H., Koike, K.: "Characterization of β_3-adrenoceptor-mediated relaxation in rat abdominal aorta smooth muscle."European Journal of Pharmacology. 482・1-3. 235-244 (2003)
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[Publications] Horinouchi, T., Tanaka, Y., Koike, K.: "Function of β_1-adrenoceptors and mRNA expression of β_1- and β_2-adrenoceptors in guinea-pig esophagus."European Journal of Pharmacology. 473・1. 79-82 (2003)
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[Publications] Horinouchi, T., Tanaka, Y., Koike, K.: "β-Adrenoceptor subtypes involved in relaxations of guinea-pig gastrointestinal smooth muscles : distribution and signaling pathway of β_3-adrenoceptors."日本薬理学雑誌. 122・Suppl1. 54-56 (2003)