2003 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪細胞特異的キナーゼ(SIK2)の糖尿病への関与とその利用
Project/Area Number |
15790150
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
竹森 洋 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (90273672)
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Keywords | CRE / CREB / 脂肪細胞 / SIK2 / マウス / キナーゼ / cAMP / 体重 |
Research Abstract |
本年度は脂肪細胞に特異的に発現する新規タンパクリン酸化酵素(SIK2)の遺伝子抑制作用および、糖尿病等の脂肪細胞が関与する疾患との関連を解明する目邸で以下の目標を立てた。 まず、SIK2の遺伝子抑制作用に最も重要なDomain3に関して解明であるが、Domain3には2つの機能が別個に存在することを明らかにした。1つはSIK2の細胞内局在決定作用で、もう1つはCREB抑制解除作用である。当初CREB抑制解除作用はSIK2の細胞内局在の変化の結果もたらされると考えていたが、SIK1とのキメラ作成により、細胞内局在変化とCREB制御は別個の現象であることが明らかとなった。次にDomain2の制御であるが、プロテオーム解析により、Domain2リン酸化酵素の候補が浮かび上がって来た。また、Domain1をリン酸化し、SIK2を活性化させる因子の同定にも成功した。興味深いことに、その因子はDomian3を介したCREB抑制解除も亢進させる作用を有しいる。これらのことから、Domain1のリン酸化はCREB抑制に働くが、同時にDomain2と3を介した抑制解除にも働くという分子内フィードバック現象が存在し、そのフィードバック機構の不調が病態に関与するのではないかと予想された。そこで、Domain1とDomain3を破壊したSIK2を脂肪細胞で特異的に発現するマウスを作成した。これらのマウスはコントロールマウスに比べ、特に高脂肪食処理を行った際に体重変動を来すことが明らかとなった。現在、体重変動原因に詳細に関して検討中である。一方、SIK2はインスリシグナル伝達分子IRS-1をリン酸化することも示して来たが、残念ながら、SIK2によるIRS-1のリン酸化は脂肪細胞の糖の取り込みには影響を与えなかった。おそらく、IRS-1のSIK2リン酸化部位は糖の取り込み以外の作用を有するものと予想される。
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[Publications] Horike N, Takemori H, Katoh Y, Doi J, Min L, Asano T, Sun XJ, Yamamoto H, Kasayama S, Muraoka M, Nonaka Y, Okamoto M: "Adipose-specific expression, phosphorylation of Ser794 in insulin receptor substrate-1, and activation in diabetic animals of salt-inducible kinase-2."J.Biol.Chem.. 278. 18440-18447 (2003)
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[Publications] Okamoto M, Takemori H, Katoh Y.: "Salt-inducible kinase in steroidogenesis and adipogenesis."Trends Endocrinol Metab.. 15. 21-26 (2004)
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[Publications] Takemori H, Doi J, Horike N, Katoh Y, Min L, Lin XZ, Wang ZN, Muraoka M, Okamoto M.: "Salt-inducible kinase-mediated regulation of steroidogenesis at the early stage of ACTH-stimulation."J Steroid Biochem Mol Biol.. 85. 397-400 (2003)