2004 Fiscal Year Annual Research Report
神経伝達物質放出機構におけるRab3A系とSNARE系の役割とその作用機構
Project/Area Number |
15790151
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
匂坂 敏朗 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (80359843)
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Keywords | 神経軸索伸長 / SNARE系 / Rho低分子量Gタンパク質 |
Research Abstract |
神経細胞は、神経細胞内に軸索と樹状突起という構造的、機能的に異なる特殊化した2つの膜ドメインをもつことによって、細胞内を伝達するシグナルの流れに方向性を生じさせている。神経細胞は細胞体から1本の軸索と複数の樹状突起を伸長させる。軸索・樹状突起とも最初は区別のつかない未成熟な神経突起から形成されていくが、どうして複数ある突起のうち1本のみが選択され急速に伸長し、軸索となるのかについては、未だ不明である。そのひとつのメカニズムとして、小胞輸送により膜成分が軸索の先導端へ選択的に多く運ばれて、そこで膜が融合し、さらにそこでのアクチン細胞骨格などの再編成により、軸索の伸長が起こると考えられている。本年度の研究では、この小胞輸送による軸索の伸長の分子メカニズムについて、普遍的膜融合装置SNAREの制御タンパク質であるトモシンに焦点をあてて解析し、以下の結果を得た。 1、神経突起が伸長する際に、トモシンが成長円錐の後部に存在していた。 2、トモシンが、t-SNAREであるシンタキシンと結合することにより、v-SNAREであるVAMPとシンタキシンの結合を阻害し、小胞融合を抑制していた。 3、トモシンとシンタキシンの結合が、ROCKのシンタキシンのリン酸化により、増強した。 4、LPA刺激によりRho-ROCK系が活性化され、神経突起が退縮する際に、トモシンが細胞膜全体に渡って存在していた。 5、トモシンが、小胞融合の場を規定することにより、Rho-ROCK系によるアクチン細胞骨格の再編成と協調して、神経突起の伸長と退縮を調節していることがわかった。 6、トモシンは、その抑制作用を介して、小胞融合の場を規定していることがわかった。 このように本年度は、普遍的膜融合装置SNAREの制御タンパク質であるトモシンによる神経軸索伸長の制御機構について、当初の計画以上の成果をあげることが出来た。
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Research Products
(6 results)