2003 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質リン酸化酵素Aktの基質分子の網羅的同定と機能解析
Project/Area Number |
15790160
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 道元 東京大学, 医科学研究所, 寄付研究部門教員 (00345034)
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Keywords | Akt / リン酸化タンパク質 / 金属固定化アフイニテイーカラム / 2次元電気泳動 / プロテオミクス |
Research Abstract |
本研究はリン酸化酵素Aktの基質分子の網羅的同定法の確立を目的とし、確立した手法、得られた知見を他のリン酸化酵素の研究にも応用する事を目指している。本年度はその基礎となるリン酸化タンパク質の精製法の確立を行った。 金属固定化アフィニテイーカラムは、金属キレート担体に結合させた3価の金属イオンにさらにリン酸基が配位結合することに基づく方法であり、これまではリン酸化ペプチドの精製に有効とされてきたが、リン酸化タンパク質に応用した例は稀である。そこで、NIH3T3細胞内でAkt経路を活性化した細胞抽出液を調整し、抗Akt基質抗体に対する抗体を用いたウェスタンブロットによりAkt基質のカラムへの至適結合条件や溶出条件の検討を行った。また、Erk経路を活性化したNIH3T3細胞抽出液についてもリン酸化ERKを用いて同様な条件検討を行った。その結果、至敵条件であるpH5.5、イオン強度0.5M NaClの時にリン酸化Akt基質やリン酸化ERKの比活性が数倍に精製されることを見いだした。続いて未処理の細胞、およびAktを活性化させた細胞から、それぞれ金属固定化アフイニテイーカラム精製によるリン酸化タンパク質試料を得て、これらを2次元ゲル電気泳動により分離し、スポットの比較検討を行った。その結果、NIH3T3細胞内でAktを活性化した際に、特異的に見られるスポットが多数存在すること、さらにその多くが抗Akt基質抗体によるイムノブロットによって検出される事を確認した。こうしたスポットは細胞全タンパク質を2次元ゲル電気泳動により解析した際には検出することが困難であり、本法がリン酸化タンパク質の特異的精製法として有効であることを示した。
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