2004 Fiscal Year Annual Research Report
細胞周期制御の破綻時におけるp53によるアポトーシス誘導機構の解析
Project/Area Number |
15790167
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
佐藤 恵理 (織田 恵理) 日本医科大学, 老人病研究所, 講師 (90339440)
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Keywords | 細胞周期 / アポトーシス |
Research Abstract |
p53によるアポトーシスの誘導は重要な癌抑制機構の一つである。しかし、p53によるアポトーシス誘導はすべての細胞において起こるのではなく、例えば、癌遺伝子が活性化することで癌抑制因子であるRBの機能が不活性化し細胞周期制御が破綻している細胞においてp53が発現した時などに起こる。本研究はRB系の制御機構の破綻をどのようにしてp53が認識しアポトーシスを誘導するのかについて解明することを目的とし、RBとp53の両方の因子に制御されている標的遺伝子をマイクロアレイ法を用いて単離することを試みた。得られた標的遺伝子群の解析を行う過程で、p53によって転写誘導される複合体E3ユビキチンリガーゼの新規サブユニットを同定した。この遺伝子は、抗がん剤アドリアマイシンによりp53依存的に発現誘導が起こり、蛋白レベルでも増加することを特異的抗体を作製し確認した。また、イントロン2に存在するp53認識様配列にp53が直接結合し、転写を活性化することが分かった。次に、この蛋白質の構造を解析した結果、Cullinファミリーの一つであるCullin3と結合する蛋白質に構造が似ていることが分かった。実際、この蛋白質もCullin3と結合することを免疫沈降法により確認した。Cullin3は、複合体型E3ユビキチンリガーゼのサブユニットであることが知られており、p53は転写活性化による新たな蛋白質の合成に加えて、p53以外の特定の蛋白質を分解することでその生理機能を発揮しているのではないかということを示す結果を得た。更に、この蛋白質がどのような機構で働くのかを調べるために、yeast-two hybrid法を用いてこの蛋白質と結合する蛋白質を同定した。現在、p53による新たな蛋白質分解経路がp53の癌抑制機構にどのように関わっているのか解析中である。
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