2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヌーナン症候群の遺伝子解析とその成因についての分子遺伝学的研究
Project/Area Number |
15790172
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
青木 洋子 東北大学, 大学院・医学研究科, 助手 (80332500)
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Keywords | PTPN11 / ヌーナン症候群 / SHP-2 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
<目的>ヌーナン症候群は顔貌異常、翼状頸、低身長、心奇形、精神遅滞等を伴う症候群で、常染色体優性遺伝形式をとる。2001年にSH2 domain containing protein phosphatase SHP-2をコードするPTPN11遺伝子に遺伝子変異が同定された。報告では家族例と散発例を含めた約40%にアミノ酸置換を伴う遺伝子変異が同定された。これに引き続いて、小児白血病の一部にもSHP-2の変異が存在することが報告された。変異のうち5個はボスファターゼ活性の高いgain-of-function変異であることが証明されたが、ヌーナン症候群と白血病で同定される変異の機能的差異については明らかになっていない。 <結果と考察>日本人41人のヌーナン症候群と小児白血病29例でSHP-2遺伝子解析を行った。ヌーナン症候群では17人に1つの新しい変異と8種類の既知の変異が、小児白血病ではjuvenile myelomonocytic leukemia(JMML)1例、myelodysplastic syndrome1例、急性骨髄性白血病1例に2種類の変異がみつかった。2)ヌーナン症候群および小児白血病で同定した14変異のPTP活性測定では、野生型を1とした場合、変異では1.4-12.7倍と有意な活性上昇を示した。アミノ酸コドン61,71,72,76の変異の活性は他のコドンの変異よりも高く、活性の高いコドンに白血病での変異が集中していた。活性の高さと白血病の成因に関与がある可能性が認められた。3)HEK293細胞に2つの変異を発現させEGFで刺激した場合、予想に反してMAPキナーゼとc-fosのプロモーター活性は野生型cDNAを発現させた場合と比較して低下しており、活性化変異が必ずしも下流のシグナル活性化につながるわけではないことが明らかになった。
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Research Products
(1 results)